炊飯過程における部位的変化について(第5報) : かまど
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
かまど(瀬川式改良型〔実用新案特許第405597号〕)による米飯について, 前報の自動炊飯器に見出されたように, 食味部位差が共通であるか否かを知るため次の実験を行った。まず釜内の釜肌前部, 釜肌後部, 中心部, 中心底部の米飯について官能検査を行った。次に食味に関与する客観現象を求めるため上記4部位につき, 見かけの沸騰, 中火終了, 焼きしめ終了, 炊き上がりの各時点で数種の測定を行った。その結果は次の通りである。〔官能検査〕採点法による評価では, 釜肌前部, 釜肌後部, 中心部, 中心底部の間に食味上の有意差は認められなかった。〔客観測定〕1.水分含量点火から見かけの沸騰までは各部位とも高い値64%前後を示したが, 焼きしめ終了から炊き上がりにかけては余り変化が見られず60〜62%であった。また部位別に見ると中火終了以後, 釜肌後部と中心底部がやや低下した。2.体積増加比点火から見かけの沸騰にかけて2.2前後となり焼きしめでやや下ったが炊き上がりには2.1〜2.3を示した。部位別に見ると中心底部が他の部位に比べて低い値を示した。3.脱水率10分後の脱水率は, 見かけの沸騰, 中火終了では11%前後であったが炊き上がりでは10.5%と下った。また炊き上がりにおいて部位差は, ほとんど認められなかった。4.粘弾性時点別には硬さ, 弾性, 粘性ともに中火終了時の値が, 硬さでは荷重1,000〜2,000g, 弾性要素ではE_1100〜150g/cm^2,E_080〜150g/cm^2,粘性要素では500〜1,500g・sec/cm^2で安定し, 何れも炊き上がりまで変らなかった。部位別にみると各要素とも中心底部が高く, 中心部が低く, 釜肌前部, 釜肌後部がその間に位置した。5.α化度時点別には, 沸騰時において84〜90%と高い値を示し, 順次上昇して炊き上がりではほぼ100%であった。部位別には, 見かけの沸騰で, 中心底部がやや低く, 釜肌前部がやや高い値を示したが以後は次第に差が少なくなり, 炊き上がりでは, ほとんど差が見られなかった。6.組織形態見かけの沸騰の時点で, 芯が見られたが, 中火終了以後, 芯は見られず形態的にも余り変化は見られなかった。7.温度変化時点別には, 見かけの沸騰2分後に102〜103℃を示し, 炊き上がり近くまでそのまま続き, 炊き上がり時には100℃であった。部位別には, 見かけの沸騰時において差が見られず, 以後炊き上がりまで部位差は見られなかった。
- 福岡女子大学の論文
- 1983-01-30
著者
-
上原 春男
佐賀大学理工学部附属海洋温度差エネルギー実験施設
-
山下 純子
(元)福岡女予大学
-
中野 和子
福岡女学院短期大学
-
中野 和子
福岡女子大学家政学部調理学研究室
-
上野 千佳子
福岡女子大学家政学部調理学研究室
-
山下 純子
福岡女子大学家政学部調理学研究室
-
平川 純子
福岡女子大学家政学部調理学研究室
-
山本 君江
福岡女子大学家政学部調理学研究室
-
宗 順子
福岡女子商業高校家庭科教室
-
上原 春男
佐賀大学理工学部
-
上原 春男
佐賀大学理工学部機械システム工学科
-
中野 和子
福岡女子大学・人間環境
-
中野 和子
福岡女子大学(元)
関連論文
- 地中熱ヒートポンプとハウス栽培の省エネルギー化
- 環境浄化技術に関する研究
- 不凝縮ガスを含む蒸気および過熱蒸気の強制対流凝縮 : 相似解に関する考察
- 不凝縮ガスを含む蒸気および過熱蒸気の強制対流凝縮 : 相似解に関する考案
- OTEC 実験プラントにおける非線形分離制御法に基づく制御器設計
- 沸騰までの時間と米飯食味との関係(第1報) : 文化鍋の場合
- 硬質米と軟質米の食味について(続) : 異なる貯蔵法と加熱法
- 炊飯過程における部位的変化について(第5報) : かまど
- 硬質米と軟質米の食味について : 炊きたて飯と冷飯
- 炊飯過程における部位的変化について(第4報) : 自動電気炊飯器
- 炊飯過程における部位的変化について(第三報) : 二段消火式ガス炊飯器の場合
- 味の好みに関する基礎的研究(第2報) : 甘味・酸味の相互関係について
- 海洋温度差発電とスプレーフラッシュ蒸発式海水淡水化の開発と展望
- 鉛直面上の乱流膜状凝縮の理論解析
- 鉛直面上の体積力対流の波流および乱流膜状凝縮 : 平均熱伝達係数の整理式〔熱工学, 内燃機関, 動力など〕
- 海洋温度差発電
- 新しい海洋温度差発電システム
- インテグレートハイブリッドサイクルを用いた海洋温度差発電プラントと淡水化プラントの性能解析
- 鉛直面上の体積力対流の波流および乱流膜状凝縮 : 局所熱伝達係数の整理式
- 超伝導交流モータの実用化に関する研究
- 超伝導交流モータの実用化に関する研究
- 海洋温度差発電プラントとその制御
- 海洋温度差発電用タービンの設計と性能解析
- 海洋温度差発電プラントの設計と制御のための計算機シミュレーションの開発
- 海洋エネルギー
- インテグレ-トハイブリッド海洋温度差発電サイクルの性能解析--OTECプラントと海水淡水化プラントの組合せ
- ダブルフルーテッド管形熱交換器を用いた海洋温度差発電システムに関する研究
- スプレーフラッシュ蒸発式海水淡水化装置の設計方法と実験結果
- 蒸気流動がある場合の鉛直面上の膜状凝縮 : 第1報,流動状態と局所凝縮熱伝達係数
- 鉛直面上の体積力対流凝縮 : 第2報,凝縮液膜の流動と平均熱伝達係数
- ハイブリッドサイクルを用いた海洋温度差発電の最適化 : 海水炭水化プラントの組合せ
- 鉛直面上の体積力対流凝縮 : 第1報,流動状態と局所熱伝達係数
- プレート式蒸発器の動特性と同定
- 海洋温度差発電プラントにおける作動流体流量のディジタル制御システム
- 海洋温度差発電用プレート式凝縮器の性能試験
- 海洋温度差発電用プレート式蒸発器の性能試験
- 狭い垂直長方形流路内の沸騰熱伝達
- 海洋温度差発電プラントにおける作動流体流量の適応ディジタル制御
- 鉛直面上の波流膜状凝縮(蒸気流動がある場合)
- 離島用海洋温度差発電の最適設計法
- プレート式熱交換器を用いた海洋温度差発電システムの研究 : 作動流体がアンモニアの場合
- プレート式熱交換器を用いた海洋温度差発電システムの研究 : 作動流体がフロン22の場合
- 鉛直面上の波流膜状凝縮(体積力対流の場合)
- プレ-ト式凝縮器に関する研究-3-水側熱伝達係数と摩擦係数
- ダブルフルーテッド菅形熱交換器を用いた海洋温度差発電システムの研究 : 第1報,作動流体がアンモニアの場合
- 鉛直面上の膜状凝縮熱伝達の実験的研究
- 平板上の乱流強制対流凝縮
- 狭い垂直矩形流路内の沸騰熱伝達の研究
- プレ-ト式凝縮器に関する研究-2-フル-テット面上での凝縮熱伝達
- プレ-ト式凝縮器に関する研究-1-鉛直平板上の凝縮熱伝達
- 鉛直面上の乱流膜状凝縮
- 鉛直面上の波流膜状凝縮 : 体積力対流と強制対流が共存する場合
- ウエハラサイクルを用いた海洋温度差発電システムに関する研究 : アンモニアの質量分率の影響
- スプレーフラッシュ蒸発式海水淡水化に関する実験的研究(噴流方向の影響)
- 蓄熱体による湯沸器の開発研究
- スプレ-フラッシュ蒸発式海水淡水化に関する研究--ノズル本数の影響について
- 高温蓄熱器の基礎的及び応用的研究
- 修正BWR状態方程式による非共沸混合媒体の熱力学的性質の計算
- 高温蓄熱体による湯沸器の開発研究
- 周期的な凹凸を有する平行平板間流路内流れの遷移と圧力損失 : 凹凸面を有する流路要素の組み合わせ効果(流体工学,流体機械)
- C217 凹凸を有する平行平板間流路内流れの熱流動特性(オーガナイズドセッション6 : 自由噴流,衝突噴流およびはく離を伴う熱・物質移動)
- 平行平板に周期的な凹凸を設けた流路内流れの圧力損失と熱伝達 : 圧力損失と熱伝達特性に及ぼす凹凸形状の影響 : 熱工学,内燃機関,動力など
- 214 平板に周期的な凹凸を設けた流路内流れの圧力損失と熱伝達
- 温泉水温度差発電プラントのシミュレータ開発
- ヒートポンプを用いた地中熱利用システムの性能解析に関する研究
- 海洋温度差発電に利用されるチタン製熱交換器 (特集 最新チタン技術の進歩)
- オゾンを用いた取水管の防汚技術に関する研究
- オゾネーションを用いたプレート式熱交換器の海生生物防汚に関する研究
- オゾンを用いた取水管の防汚技術に関する研究
- オゾンを用いた取水管の防汚技術に関する研究
- OS2-15 アンモニア/水を用いた海洋温度差発電システムの実験(OS2 自然エネルギー)
- スプレーフラッシュ蒸発式海水淡水化システムの最適化
- スプレーフラッシュ蒸発式海水淡水化システムの最適化
- HFC410Aを用いた乾式冷凍機の性能試験
- 海洋温度差発電システムの設計条件の最適化 : 年間運転性能を考慮した場合
- 平行平板に周期的な凹凸を設けた流路内流れの遷移と圧力特性 : 臨界レイノルズ数と圧力特性に及ぼす凹凸形状の影響 : 流体工学, 流体機械
- 海洋温度差発電,今後の発展とチタン利用
- 海洋温度差発電と海水淡水化技術
- 海洋温度差発電システムの研究(熱交換器に多管円筒式を用いた場合の実験的研究)
- 垂直流路内における自然流動沸騰の限界熱流束
- 垂直流路内における自然流動沸騰の限界熱流速(矩形流路について)
- 衝突噴流沸騰系のバーンアウトの研究 : 第4報,噴流の数が二つ以上の場合
- 狭い流路の沸騰熱伝達に及ぼす気ほうの影響 : 低熱流束域について
- 衝突噴流沸騰系のバーンアウト熱流束の研究(噴流が2つ以上の場合)
- プレート式蒸発器のアンモニア平均蒸発熱伝達と温水側圧力損失
- 海洋温度差発電プラントの低次元モデルに基づく蒸気温度制御器設計
- スプレーフラッシュ蒸発式海水淡水化に関する実験的研究
- ハイブリッドサイクルを用いた海洋温度差発電システムの研究 : 沖永良部海域
- 海洋温度差発電用タービンの最適化プログラミング(TURBOTEC)
- 海洋温度差発電用タービンの最適設計に関する研究 : 作動流体がアンモニアの場合
- 海洋温度差発電
- 海洋温度差発電の現状と将来展望
- 海洋温度差発電
- OS2-14 アンモニア/水を用いた海洋温度差発電の最適組成に関する研究(OS2 自然エネルギー)
- 海洋温度差発電の新たな展開と二相流
- インド洋における海洋温度差発電 1000kW 実証プラント
- 吸収と抽気作用を伴うサイクルを用いた海洋温度差発電システムの性能解析
- 非線形分離制御法に基づく適温適量水循環式瞬時供給システムの制御器設計
- 適温適量水循環式瞬時供給システムの構成と性能評価法
- フィジー海域の海洋調査及びその海洋特性 : 2003年度調査