先行刺激に対するキー押し反応課題の付加による先行刺激抑制効果の強調
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概要
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110-dBの強音に対して誘発される驚愕性瞬目反射は,誘発刺激の開始に約100msec先行して微弱な信号を付加することによって抑制される。これを先行刺激抑制効果と呼ぶ。さらに,先行刺激(S_1)と反射誘発刺激(S_2)の時間間隔(SOA)を1-2secと延長すると反射は促進する。先行刺激抑制効果は,S_1に対する受動的注意に伴う情報処理過程が驚愕反射の誘発機構に干渉することによって出現すると仮定できる。一方先行刺激促進効果は,S_2に対する能動的注意機構が誘発刺激の入力を促進するために出現すると仮定できる。本研究では,先行刺激抑制効果の発現に関する上記の仮説を検討する事を目的として,S_1に対するキー押し反応の付加が先行刺激効果に及ぼす影響を検討した。14名の大学生被験者を,反射量でマッチングしたうえでT群とNT群とに無作為に振り分けた。T群の被験者には,S_1に対して利き手親指による迅速なキー押し反応を要求し,NT群では何等課題を課さなかった。S_1は70dB,1000Hzの純音,S_2は110dBの白色雑音であった。両刺激とも持続時間は50msecであり,ヘッドフォンを介して両耳に呈示した。S_1とS_2とのSOAは60, 125, 250, 500, 1000, 2000, 4000msecの7種で,これらのS_1-S_2条件にS_2単独呈示条件を加えた計8つの刺激条件を1ブロックとして7ブロック,計56試行呈示した。刺激条件の提示順序は無作為として,試行間間隔は25-45sec(平均35sec)の無作為系列に従った。平均瞬目反射量の結果は,(1)両群とも先行刺激抑制効果が有意であること,(2)125-250msecのSOA条件ではT群の抑制効果が有意に強調されること,及び(3)T群の先行刺激促進効果が消失することを示し,上記仮説を指示した。鍼刺激による痛み抑制効果と本先行刺激効果との関連は今後検討されねばならないであろう。
- 関西鍼灸大学の論文
- 1986-04-01
著者
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