Fmθのバイオフィードバックによる自己制御 : 無処置統制群・自律訓練群との比較
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概要
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Fmθは暗算などによって誘発される正常脳波の一つである。Fmθ律動は注意集中と呼ばれる被験者の精神状態と密接な関係があることが知られている。また,性格特性もFmθの出現に関連することが知られている。すなわち外向者,低下安者,低神経症傾向者では内向者,高不安者,高神経症傾向者よりもFmθは多く出現する。また状態不安が高いとFmθは抑制される。本実験の目的はFmθの出現に及ぼすFmθのバイオフィードバック(BF),訓練の効果を無処置統制群(CN)及び自律訓練群(AT)と比較することによって検討することである。女子大学生24名を被験者とし,AT群,BF群及びCN群に割当てた。各群8私中6名は予備実験でFmθが出現した。BF群では聴覚BF訓練を2週間に5回行なった。AT群では同期間自律訓練標準練習を行ない,CN群では2週間放置された、訓練前後のセッション(テスト1及び2週間おいたテスト2)におけるFmθの活動性が比較された。両テストセッションで被験者は内田クレペリン検査用紙を改良したものを用いて連続加算作業を5分間,他の処置なしで(例えばBF群ではBFなし)行なった。BF群でのみFmθ持続時間はテスト1からテスト2へ増加した。また訓練期間最後の2日間では,BF訓練前の統制条件から訓練後の統制条件へと3分間当たりのFmθ出現時間が増加した。これらの効果は統計的に有意な傾向を示した。またBF群の平均瞬目率はテスト1からテスト2へと減じ,訓練期間中は訓練前から訓練後へと有意に減少した。状態不安(STAI)得点は全群でテスト1からテスト2へと有意に減少したが,BF群の訓練日前後の値に差はなかった。BF群の全被験者がバイオフィードバック訓練の結果として,Fmθの出現を察知できるようになったと報告した。しかしFmθの出現を随意に制御できたと報告した被験者はわずか1名であった。以上の結果は,さらにBF訓練期間を延長すれば,全被験者がFmθの出現を制御できるようになることを示唆する。Fmθのバイオフィードバック訓練によって,精神活動中もくつろげ,作業への集中も増すことが期待される。
- 1987-06-14
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