スリランカアヌラダプラ地域エッパワラ地区における水田農業の経済分析
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概要
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米はスリランカの主食であり,家族農業経営によって担われた水稲栽培はほかの食用作物の栽培に比べ,スリランカの気候条件にマッチしているため優位性がある。また稲作部門は全人口の10%以上をしめる季節労働者を雇用しているが,全ての商品作物の中で単位面積当たりの労働時間がもっとも少ない。1997年の8月,アヌラダプラ地域の110戸の農家を対象とした調査でスリランカの水田農業における様々な実態を明らかにした。本研究の主要な結果は次の通りである。1.アヌラダプラ地域の世帯主の57%は,年齢が40歳以下であり,この地域の農家は若い人が多いことを示している。また,農家の人々の本業は,伝統的農村では94%は農業であり,新入植農村ではそれは73%で月日入植農村では83%となっている。農業以外に商業などの自営を行う人が近年では増加している。2.アヌラダプラ地域の一戸当たり平均耕地面積は3.7acre(1.48ha)であり,一戸当たりの水田面積は2.2acre(0.88ha)で,したがってこの地域は60%は水田である。また,栽培作物の構成は,水稲65.1%,その他畑作物などが34.9%であり,水稲の割合がもっとも高い。3.伝統的農村の4acre(1.6ha)以上の大きな農家についてみると,そのうちの48%は様々な形態の借地となっている。たとえば,分益小作,抵当システム,政府所有地の借入れなどである。大規模農家は小規模農家からの借地が容易に行えるため,農地を購入するより安価な借地の方が多く借地に様々な形態がある。4.稲作の費用の48%は労働費で占められている。労働力利用方式には,家族労働力,共同手間替え,お手伝い,雇用労働,請負耕作賃労働など,様々な様式がある。農繁期にはどの農家も労働力が不足しており,雇用労働や農家同士の共同作業や協力して助け合うことで労働力を補充している。そのため,このような様々な様式がある。5.標準的な稲作農家(2.5acre(1.6ha)経営)の1シーズン1acre(0.4ha)当たりのコストは約1万4千ルピー(2万8千円)であり,利潤は約6325ルピー(1万2650円)である。新規参入農家には政府が規定する最低規模2.5acreを保証し,標準的な稲作農家としている。一般的な他産業就業者の利潤は5000ルピー(1万円)程度で,標準的な稲作農家の利潤は2635ルピー(5270円)で比較すると他産業就業者の半分程度の利潤しか得られていない。
- 岐阜大学の論文
- 1998-12-26
著者
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