スリランカの農業構造
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概要
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農業部門はスリランカ経済の中で,GDPの20%を占め,なお優勢な役割を演じている。その1は,輸出を目的とする国有地のプランテーション農業であり,その2は小農によって営まれている伝統的な水田農業である。後者は日本と同様,数十戸の農家から成る農村社会を構成している。そこではなお依然として家族労働と水牛による畜力中心の稲作が行われている。ここでは,潅漑排水体系の整備が必要であり,機械化や規模拡大を進めるため伝統的な農業形態の改革が歴史的課題である。スリランカは、熱帯モンスーン地帯に属し,Maha season(10-2月)の10・11月とYala season(4-9月)の4・5月に雨期があり,これまでこの気象条件に適応した稲の二期作と茶,ゴム,ココナツの栽培が盛んに行われて来た。ところが,日本における農業発展ほどないにしても,この2〜30年間にスリランカの農業部門は,急激な変化を被った。つまり,第二次世界大戦後のプランテーションの全面的な国有化と「緑の革命」と呼ばれた技術革新がスリランカ農業の生産性を高め,農業的土地利用の拡大を促進した。その結果,新たな問題が発生してきた。それは,1.伝統的な水田農業の近代化が必要になってきたが,それに対応する潅漑排水設備導入をはじめとするインフラ整備の遅れ,農家・農村の資金不足,農産物の市場流通組織整備の遅れなどのため,この新たな段階に対応する構造変革が実現していないこと,2.農業生産の成長を全体として支えている高役入農法(機械・肥料・農薬の投入)の進行が水田稲作小農経営と紅茶,ゴム,ココナツ等のプランテーション農業の生態学的な資源基礎をしだいに悪化させていることである。この2つの新たな問題の解決が,現在のスリランカにおける基本課題となっている。
- 1995-12-28
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