1990年代における日本農業の地帯構成
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概要
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日本農業の地帯構成を,その地帯類型間の対比的考察によって把握する方法は,日本農業の基本構造と発展段階を立体的に規定する有力な方法の一つとしてこれまで採用されてきた。この報告もこれに倣い,1990年代(その前半)の既存統計を整理して,日本農業の地帯構成を太平洋ベルト地帯と背後地農業地帯との二つの典型的な地帯構成に区分して考察したものである。結論として,(1)太平洋ベルト地帯では,農外資本の作用力に規定される諸要因,すなわち,労働市場と上地市場の強いインパクトに対抗して,中核的担い手層において施設園芸に代表される高度集約的な経営形態が展開し,土地生産性,収益性の低い土地利用部門(とりわけ稲作部門)は担い手が少数で停滞的である。この典型を東海区(特に静岡・愛知両県)の中核農家層に求めることができる。(2)これに対して,背後地農業地帯(特に東北区)に典型的に見られる土地利用部門で,経営規模の拡大(労働生産性向上)と土地生産性(10a当たり収量)の向上を契機とする農業内生的な高い生産力を有する経営形態が展開し,農業内部の生産力と収益性が土地所有と土地価格形成になお影響力を持っている。
- 岐阜大学の論文
- 1995-12-28
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