林業の現在的課題 : 戦後の林業経済研究のあゆみを踏まえて

概要

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本論文では,戦後から現在に至る林業展開の過程とそこに現れた問題点を,雑誌「林業経済」及び林業経済学誌「林業経済研究」(前身は「林業経済研究会会報」)に掲載された主な論文を整理することを通じて追跡した。その結果、次のことを指摘できる。(1)国有林経営は、特に経済の動きに振り回されてきた傾向があり,それにより自らの森林資源を貧弱なものとした。経営体としても,長期的な視野に立ち,各々の地域・森林の状況に基づいた柔軟な経営を行う為の組織的能力に欠けるため,林業の構造的不況下では,森林管理の粗放化という消極的な経営に陥りがちであり、今後国有林野資源の管理のあり方が根本的に問われなければならない。(2)民有林においては、現代の林業を取り巻く経済状況や、人工林が主伐期を迎えようとしている状況の中で、地域林業の組織化を推進させることが重要になってくるが,森林・林業・山村の調和のとれた発展を可能とする組織化が進められなければ,その発展は不可能である。(3)本村生産のための森林管理のみばかりでなく,生活環境の向上を図るための新しい森林管理のあり方が問われている。
岐阜大学の論文
1988-12-25