ニホンカモシカ妊娠黄体の退縮過程に関する組織学的観察

概要

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1979年12月から1980年3月までの間に,岐阜県下で捕殺された妊娠ニホンカモシカのうち,胎子体長の明らかな23個体の卵巣を用い,妊娠黄体の最大断面積を示すスライスから,Hematoxylin-Eosin (H.-E.)重染色およびResorcinfuchsin染色(Weigert)標本を作成した。さらに,1982年12月から1983年3月までの間に採取された6個体の卵巣を用い,Sudan III染色を行なって,上記標本の観察を補なった。観察項目は,黄体の最大断面積,正常黄体細胞の分布密度,顆粒層黄体細胞の形態学的変化および黄体内小動脈の分布密度とし,これらの変化と胎子体長との関係について,形態学的および計量的観察を試みた。胞子体長が増加するにつれて,黄体の最大断面積および正常黄体細胞の分布密度は明らかに減少した。また顆粒層黄体細胞をその変性の度に応じて,7 stages (0, I, II,・・・・・IV)に区分した場合,胎子体長の増加につれて,それぞれのstageの出現頻度はstage O優勢から漸次stage VI優勢へと推移した。一方,黄体内小動脈の分布密度は,黄体退縮の進行と共に増加を辿り,また,これらの小動脈壁においては弾性線維の出現:増量を認めた。以上の傾向は,すべての観察項目について胎子体長17cmを契機として急激に顕著となった。すなわち,ニホンカモシカにおける妊娠黄体の退縮開始時期は,胎子体長17cm (妊娠100〜105日)と結論したい。
岐阜大学の論文
1984-12-15

ニホンカモシカ妊娠黄体の退縮過程に関する組織学的観察

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