コロイダルカーボン投与後のタイ脾臓における食細胞の動態
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概要
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養殖場で飼育された生後6〜14か月のマダイを用い,コロイダルカーボン投与後の肺臓における食細胞の動態について検索を行った。マダイの脾臓は胃の背側に位置する長円形の臓器であり,明瞭な白脾髄の形成は認められないが莢組織は発達している。脾組織内にしばしばmelano-macrophge centers (MMCs)と呼ばれる球形のメラニンおよびヘモジデリン等の色素を持つ細胞の集団がみられる。腹腔内に投与したカーボンは,投与10分後には莢組織に出現し,30分後には多量のカーボンが莢組織の食細胞内に取り込まねている。莢動脈における血管腔から莢組織への遊離カーボン粒子の移動は莢動脈内皮細胞間にjunctionがみられず基底膜が不連続な部位において,内皮細胞間を通過することにより行われ,莢組織に至ったカーボン粒子は,多数の細胞質突起を伸ばす食細胞により捕捉される。カーボンを捕捉した莢組織の食細胞は,投与90分後には莢組織を離れ始め,24時間後に初めてMMCs内にカーボン含有細胞が出現する。その後,MMCs内にみられるカーボン含有細胞が徐々に増加し,19日後にはカーボン含有細胞の大部分がMMCs内に存在する。カーボンを捕捉した後移動を行うのは食細胞のみであり,莢組織の細網細胞は少量のカーボンを取り込むが,移動する像を示さなかった。以上の結果から,腹腔内に投与されたコロイダルカーボンは血行を介して脾臓に到達し,莢組織において食細胞に捕捉されてMMCsへ運ばれることが明らかになった。MMCsは不消化・非抗原性の物質に対しては,収容所もしくは貯蔵所として働くと考えられる。
- 岐阜大学の論文
- 1988-12-25
著者
-
杉村 誠
北海道大学獣医学部家畜解剖学講座
-
鈴木 義孝
岐阜大学農学部家畜解剖学講座
-
阿閉 泰郎
岐阜大学農学部家畜解剖学講座
-
鈴木 義孝
岐阜大学 農
-
鈴木 義孝
岐阜大学農学部獣医学科家畜解剖学教室
-
鈴木 義孝
岐阜大学農学部獣医学科家畜解剖学研究室
-
鈴木 義孝
岐阜大学農学部家畜解剖学教室
-
阿閉 泰郎
岐阜大学 農
-
阿閉 泰郎
岐阜大学農学部獣医学科家畜解剖学
-
Hayakawa Yoshinori
Institute Of Basic Medical Sciences University Of Tsukuba
-
Atoji Y
Laboratory Of Veterinary Anatomy Department Of Veterinary Science Faculty Of Agriculture Gifu Univer
-
Atoji Yasuro
Department Of Veterinary Anatomy Faculty Of Agriculture Gifu University
-
Atoji Yasuro
Laboratory Of Veterinary Anatomy Faculty Of Agriculture Gifu University
-
Atoji Yasuro
Laboratory Of Veterinary Anatomy Faculty Of Applied Biological Sciences Gifu University
-
Atoji Yasuro
Department Of Veterinary Anatomy Gifu University
-
杉村 誠
Shizuoka Univ. Hamamatsu Jpn
-
杉村 誠
岐阜大学農学部獣医学科家畜臨床繁殖学研究室:(現)愛知県西尾保健所
-
Hayakawa Yasuhiro
Department Of Chemical Engineering Waseda University
-
河合 清美
岐阜大学農学部獣医学科家畜解剖学研究室
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