大競争時代の経営者の問題把握と戦略策定 : 1986〜1997年間の社長インタビュー・サーベイを中心にして

概要

論文の詳細を見る
現在の日本の多くの経営者は,加速化する情報化・グローバル化の社会の変化の速さに,企業内の人々の意識や財務体質が追いつかないことを最大の問題とする。この問題の根底には,本来,人間の意識が固定してできる制度とか,法律が,ボーダレスに飛びかう情報や,それに基づく国際的圧力によって,意識の変化より先に変わってしまうという現代の根元的な問題がある。その問題を解決するために,おもて向き大企業経営者は企業倫理を強調する。しかし経営者はホンネのところで,企業の長期の維持発展による従業員の生活の安定こそが最も重要であり,それによってはじめて企業倫理の内容が達成されるものと考えている。円高不況,バブル,バブル後不況に対して,日本の経営者は,まずコスト削減戦略を考え,その延長線上に海外進出を考える。ただコスト削減のために人員削減を口にする経営者は一人もいない。次のステップとして自社の強みを深化・拡大するため,強みに経営資源を集中投資する。この海外進出,集中投資をするとき経営者は,財務を中心にしてつねにバランスを考えている。しかしアングロサクソン型経営のように,財務的基準だけで企業の一部を売却したり,買収したりする経営者はほとんどない。優秀な経営者は,ジャーナリストやエコノミストよりも,世界の混乱の原因をより大きく,より長期的にとらえている。そしてそれと同時に,その混乱から生ずる現場の問題をより深く,より細かく把握している。これは彼等がジャーナリストやエコノミストよりも,経営に大きな責任と大きな危機感をもっているからである。
慶應義塾大学の論文
1997-06-25

著者

清水龍瑩
慶應義塾大学商学部

大競争時代の経営者の問題把握と戦略策定 : 1986〜1997年間の社長インタビュー・サーベイを中心にして

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク