<原著>高齢者擬似体験による高齢者理解の可能性と限界 : 実施時期による学習効果の違い
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概要
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本研究は, 装具を用いた高齢者擬似体験学習の体験の質を実施時期の違いから分析し, その体験学習による学習効果を高齢者理解の可能性と限界の側面から検討することを目的とした.対象は本学の看護学生107名である.分析は, 体験学習後に記載したレポートをデータとして, 高齢者施設での臨地実習および講義の後に体験学習を実施した1群(53名)と実習および講i義前に実施したII群(54名)の体験学習を通しての学び内容について比較検討した.結果, 以下のことが明らかになった.(1)高齢者擬似体験は, 身体機能面からみた高齢者理解に最も多く貢献していた.(2)高齢者の立場から老いをみる視点や援助者としての目線・態度の育成に繋がった.しかし一方で, (3)イメージの固定化やパターナリズムに陥る危険性があった.(4)97%の学生が体験学習における自己課題を達成させていたが, 自己課題の内容および体験学習による学びは, 体験の時期によって異なる傾向にあった.1群の学生は, 実習で体験的に学んだ'老い'の追体験を課題として臨み, 既習の知識と今回の体験を統合し理解している.一方, II群の学生は`老い'を身体機能や感覚機能の低下の側面から理解しようとしており, 擬i似体験によって身体的な機能低下とそれに伴う心理を実感することで, 漠然としていた高齢者像がイメージ化できるようになっている.以上から, 体験学習は, それ自体の効果と限界, 実施の時期による学習効果の特徴を踏まえて計画し, 体験後に学生の学びをフォローし, 強化していく必要があることが示された.
- 川崎医療福祉大学の論文
- 2001-08-25
著者
-
竹田 恵子
川崎医療福祉大学保健福祉学部
-
竹田 恵子
川崎医療福祉大学医療福祉学部保健看護学科
-
太湯 好子
川崎医療福祉大学
-
兼光 洋子
川崎医療福祉大学 医療福祉学部 保健看護学科
-
太湯 好子
川崎医療福祉大学医療福祉学部保健看護学科
-
兼光 洋子
川崎医療福祉大学医療福祉学部保健看護学科
-
兼光 洋子
川崎医療福祉大 医療福祉 保健看護学科
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