有用植物の疫病に関する研究(第 7 報) : Phytophthora capsici LEONIAN 菌に因る西瓜褐色腐敗病に就て
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概要
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1種のPhytophthora属菌に因る西瓜褐色腐敗病が, 1952年以来京都府, 奈良県, 高知県に於て発生した。本病は夏季の高温多湿の際或は排水の悪い畑に発生し蔓延する病害である。本病は西瓜の果実, 蔓, 葉を侵す。果実に於ける病徴は, 初め径1cm位の円形, 暗褐色水浸状の凹陥した病斑を生ずるが, 後拡大して大形となり灰褐色乃至暗褐色の病斑となる。病状が少し進むと病斑内に白色粉状の菌叢を生ずる。この菌叢は病斑面全体へ拡大するが, 周囲には常に病勢進行中の暗緑色乃至暗褐色を帯びた水浸状の部分を残す。菌叢は間もなく緊密な絨毛状の固い少しく隆起したものとなる。茎に於ては初め水浸状の病斑を生ずるが, 拡大して暗褐色となり, 急速に茎を囲繞し腐敗を起すからその部分より上部の萎凋枯死を原因する。本病々原菌はPhytophthora capsici LEONIAN菌に該当するものと思はれる。游走子嚢はは罹病果実上に豊富に形成せられるが, 培地上では室温で約1ヶ月後に形成せられる。通常楕円形で無色, 顯著な乳頭突起を有する。卵胞子はオートミール寒天培地上で2∿3ヶ月後に形成せられた。厚膜胞子の形成はまだ認められない。菌糸の培地上に於ける発育の適温は28°∿30℃附近であり, 発育の限界温度は6°∿9℃附近から35℃より少しく高い附近に至る間である。病原菌は西瓜の無傷の場合でも強い病原性を有する。又同様に無傷にて胡瓜, 南瓜, 蕃椒, 茄子の各果実に対して強い病原性を示したが, 蕃茄及び無花果の果実には有傷の場合のみ病原性を示した。又本病々原菌の菌糸及び游走子嚢を蕃椒の幼植物に噴霧接種した結果, 強い病原性を示した。
- 京都府立大学の論文
- 1954-09-01
著者
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