西瓜疫病とそれを起因する Phytophthora drechsleri TUCKER 菌について
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概要
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1. 本論文は西瓜疫病とその病原菌に関する研究結果を述べた。本病は本学附属農場で初めて発見したが, その後京都, 奈良, 高知の3府県下に発生していることを認めた。2. 本病は主として7月中下旬に最もはげしく発生するが, 西瓜の成育期間を通じて見られる。雨後特に著しい。3. 発生は水田跡地の滞水或は冠水しやすいところに多く, 畑地ではやや少い。4. 本病は葉, 茎, 果実, 根に発生し, 果実では初め茎1cm位の円形水浸状暗緑色で, やや凹陥した病斑を生ずるが, 急速に拡大し赤褐色水浸状で, 空気が乾燥するときは病斑上に白色粉状の菌叢を生ずる。5. 本病菌は各種培地上で発育良好であるが, 游走子嚢の形成は不良である。しかし菌糸を水中に浸すと間もなく形成する。游走子嚢には乳頭突起を欠き, 又真正の厚膜胞子を形成しない。6. 本病菌は9°-10℃附近から37℃附近まで発育し, 30℃附近が最適発育温度である。7. 本病菌の菌糸は湿熱の場合45℃20分或は50℃5分間で死滅する。8. 本病菌は種子伝染しない。9. 本病菌は西瓜, 胡瓜, 茄子等に接種して游走子嚢を形成せしめ得るが, 有***官は馬鈴薯, 南瓜, 玉蜀黍の各煎汁寒天培地上で5∿6日後容易に形成し, 又菜豆莢上で2ケ月余で形成した。10. 本病菌は有無傷の接種により西瓜の各器官の他, 胡瓜, 茄子, 菜豆, 梅の各果実及びニンジンの根に対して病原性を示し, 紀州蜜柑, 苹果, 蕃茄の果実には有傷の場合のみ病原性を示したのに対し, 馬鈴薯の塊茎及びダイコンの根に対しては陰性であつた。11. 本病菌はPhytophthora drechsleri TUCKERに該当する。
- 1958-08-01
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