<原著>HMG-CoA還元酵素阻害薬の心筋梗塞二次予防効果

概要

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高脂血症治療薬, HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)が心筋梗塞二次予防に有効であるとの報告が欧米で存在するが, 本邦ではない.そこで1990年から1999年迄当科で治療した心筋梗塞患者で, 服用群の心事故発生率を高脂血症治療薬非服用群のそれと比較検討し, 効果を判定した.心事故とは致死性, 非致死性再梗塞, 心臓突然死, 心不全死と定義した.心事故発生率は服用群1597例中18例(1.1%), 10.6件/1000人・年, 非服用群2643例中71例(2.7%), 29.9件/1000人・年であり, 服用群で有意に低値であった(p<0.01,relative risk 0.41;95%信頼限界0.25〜0.70).全死亡率も服用群19例(1.2%), 11.0件/1000人・年, 非服用群77例(2.9%), 32.0件/1000人・年で服用群で有意に低値であった(p<0.01,0.40;0.24〜0.67).両群間で患者背景に差があったためsubgroup analysisをおこなったが, 殆どの患者背景で服用群の心事故発生率は低値であった.多変量解析では本薬剤が有意な心事故予防因子と算出された(0.46;0.27〜0.77).カプランマイヤー曲線によっても本薬剤は心事故及び全死亡を有意に予防することが示された(p<0.001).これらは欧米での大規模臨床治験と同等であると示唆された.
近畿大学の論文
2002-06-25