研究小集会「食品と水」開催の趣旨
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概要
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水は食品において主要構成成分であることが多い.また,水の取り扱いが食品加工において決定的である場合も多い.食品における水の重要性を認識して1974年に第1回 ISOPOW (International Symposium on the Properties of Water ; 食品中の水の国際会議)が英国·グラスゴーで開催され,昨年2010年9月に第11回会議がメキシコ·ケレタロで開催された.本研究小集会世話人の筆者もセントラルコミッティメンバーとして参加してきた.尚,第2回の会議は1978年に大阪で開催されている.ISOPOW においては,毎回活発な討論が繰り広げられ,世界の食品研究をリードする成果に結びついている.水分活性,食品ガラスの概念などがその例といえよう.しかしながら,国内の食品関連の研究集会において水に焦点をあてたセッションが設けられた例は,著者の知る限り,ほとんどない.このような状況下,2009年度から本学会において「食品と水」研究小集会が開催されるようになったことの意義は大きい. 食品分野における主な水研究は,水分子の運動性,水分子·水分子集合の存在状態,食品中における水の分布に関する研究に分類することができよう.一昨年度の第1回小集会では,“不凍たんぱく質の構造·性質と食品加工への応用”,“誘電緩和測定によるたんぱく質や糖水溶液中の水のダイナミクス”,“高分子ゲル中における水の振舞い”からなる3題の講演があった.昨年度の第2回本研究小集会においては,食品中の水の分布と品質に関して,および高分子ゲル中の水分子の運動性に関して,主にNMR緩和時間測定を手法とした研究について,2つの講演をお願いした.それぞれの解説論文に先んじて,以下に2題の講演の簡単な紹介を記しておく. はじめに,調理における水の重要性の視点から,NMRイメージングによる炊飯過程における米粒内水分分布の変化およびFT-IR測定による糊化度の予測について,お茶の水女子大学·香西みどり氏に講演して頂いた.米の種類によるテクスチャーの相違は水の糊化引起しやすさ,すなわち,米粒の吸水特性に依存することを解説された.続いて,東京海洋大学·松川真吾氏の講演では,広幅 NMR によるゲル状食品中の水の動的挙動解析について,高分子鎖の存在状態の視点から解説があった.すなわち,NMR 緩和時間T2(スピンースピン緩和時間)は高分子鎖の存在状態によって異なった挙動をとることを示され,それぞれのケースに対する理論式の導出について解説して下さった.
- 2011-10-15
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