ルブラトキシンBはマウスに低血糖症と血清中のインターロイキン-6量の増加を引き起こす
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概要
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ルブラトキシンBの毒性の血清学的マーカーを探すために、マウス血清中のトランスアミナーゼやグルコース,中性脂肪,コレステロール,インターロイキン(IL)-1β,IL-6,腫瘍壊死因子(TNF)-α量に対するルブラトキシンBの影響を調べた。ルブラトキシンBで24時間処理した後のC3H/HeNマウス血清中のトランスアミナーゼ活性は、コントロールに比べて非常に高かった。このことは、ルブラトキシンBが肝臓障害を引き起こしたためと考えられる。しかしBALB/cAnNマウスにおいては、ルブラトキシンBによる血清中のトランスアミナーゼ活性の上昇はさほどではなかった。ルブラトキシンBは両系統のマウスの血糖値を下げたが、ここでもBALB/cAnNでは影響が少なかった。血清中の中性脂肪とコレステロール量はルブラトキシンBに影響されなかった。C3H/HeNマウスにおいては、ルブラトキシンB24時間処理により、劇的な血清中のIL-6の上昇が観察された。これに対しBALB/cAnNマウス血清からは、IL-6はほとんど検出されなかった。また、IL-1βとTNF-αはどちらの系統のマウス血清からも検出されなかった。以上の結果は、ルブラトキシンBはBALB/cAnNマウスよりもC3H/HeNマウスにおいて強い毒性を示し、血清中のIL-6の発現を誘導することを示している。IL-6は、ルブラトキシンBの優れた血清学的マーカーになると思われる。われわれの結果は、ルブラトキシンBが薬剤性肝障害のよいモデルとなる可能性を示している。
- 2001-01-31
著者
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後藤 哲久
独立行政法人食品総合研究所
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中村 久美子
独立行政法人食品総合研究所
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長嶋 等
農林水産省食品総合研究所
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後藤 哲久
農林水産省食品総合研究所
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中村 久美子
農林水産省食品総合研究所
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後藤 哲久
農林水産省 野菜・茶業試験場
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