外来血液透析患者の食塩摂取量と生命予後からみた食事管理の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
血液透析 (HD) 患者の食塩摂取量について検討した. 2005年4月時点で安定してHDを施行している, 透析歴2年以上の患者547名を対象に, 食塩摂取量を計算し, その分布と推移, 年齢, 体重, 血圧との関連をみた. さらに観察開始時の食塩摂取量を5群 (6g未満, 6~8g未満, 8~10g未満, 10~12g未満, 12g以上) に層別し, 観察期間の生存率を比較した. さらにこれらの解析を踏まえ, 年齢66歳未満と66歳以上で食塩摂取量と生存率について比較した. 食塩摂取量は加齢に伴って少なくなり, BMIの大きい患者のほうが多い傾向にあったが, 血圧 (平均血圧) とは相関しなかった. 回帰分析の結果では, 食塩摂取量ごとのハザード比は食塩摂取量6g未満の層と比較すると6gから12g未満の層が低く, 食塩摂取量を6g未満に維持することが生命予後を良くするとは必ずしもいえない. さらに, 66歳以上の群では食塩摂取量の多い群で有意差は認めなかったが生存率が高い傾向を示した. HD患者の食塩摂取量は溢水の防止目的で基準を一律6g/day未満にすべき提案がされているが, 食塩摂取量は食事摂取量とも関連しており, 年齢, BMI, 身体活動レベルを考慮した目標値を設定する必要がある. 高齢患者では一般に食欲減退傾向にあり, 栄養指導は水分, 食塩の「制限」を指導の中心にするのではなく, 「体調維持」を念頭に置く必要がある.
- 一般社団法人 日本透析医学会の論文
著者
関連論文
- 逆濾過透析液を利用した自動モードによる間歇補液血液透析 (intermittent infusion HD) の考案とその臨床評価(多施設共同研究報告)
- 血液透析糖尿病患者における酵素法によるグリコアルブミン測定の評価
- わが国の慢性透析療法の現況 : 2007年12月31日現在
- β_2-ミクログロブリン吸着器リクセルS-25の臨床検討 : -短期使用報告-(多施設共同研究)
- 人工血管内シャント(AVG)のモニタリングにおける静的静脈圧の有用性
- 血液透析患者の鉄代謝指標の日内変動
- 連日透析システム(AEK-10)による連日短時間血液透析の有効性と安全性の検討(多施設共同試験)
- 血液透析患者の腎性貧血に対する遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤(rHuEPO)治療における維持Ht値と生命予後に関する大規模調査(rHuEPO 特別調査)
- わが国の慢性透析療法の現況 : 2006年12月31日現在
- わが国の慢性透析療法の現況 : 2005年12月31日現在
- オンラインHDF/HF治療への使用を意図した人工腎臓装置と水質基準に関し要求される事項(要求事項)の提言
- 維持血液透析患者における鉄欠乏の指標としての血清トランスフェリンレセプターの意義
- 新たな透析液水質基準と血液浄化器の機能分類 : 第49回日本透析医学会コンセンサスカンファレンス「血液浄化器の新分類-内部濾過と透析液水質による再評価」より
- 内シャント狭窄に対する PTA 施行例の検討 : 第86回日本泌尿器科学会総会
- プライマリ・ケア医による糖尿病合併症の調査
- 人工血管内シャント(AVG)のモニタリングにおける静的静脈圧の有用性
- 透析糖尿病患者におけるミチグリニド長期投与の有用性と安全性の検討
- 新しい免疫抑制剤デオキシスパガリンを使用した腎移植の3症例 : 第48回四国地方会
- 慢性血液透析患者の高トリグリセライド血症に及ぼす低分子ヘパリン (dalteparine sodium) の影響 : 非分画ヘパリンとの比較
- 手根管症候群に対する外科的治療特に直視下手根管解放&腱滑膜切除術の成績 : 第51回日本透析医学会ワークショップより
- Push-Pull HDFにおけるPush相およびPull相での膜付着蛋白の解析
- テルモ社製透析用人工血管(GRASIL^【○!R】)の臨床使用 : 長期成績
- テルモ社製透析用人工血管(TRE-687)の特徴とその臨床使用報告
- 協働業務の取り組みと看護の専門性 : 第49回日本透析医学会ワークショップより
- 血液透析患者におけるerythropoietin(rHuEPO)治療反応性の指標としての血清トランスフェリンレセプター
- 徳島市前立腺がん検診について : 第一報:平成13年度初年度の結果に対する解析
- 晩期急性拒絶反応のみられた11症例に関する臨床的検討
- 透析患者血清M-CSFレベルと透析膜素材
- 内シャント狭窄に対するPTA19例の検討
- シャント流量と再循環率の関連
- 急性腎不全はどう治療する (第19回 日本急性血液浄化学会 PROCEEDINGS-2008[急性期治療と先端血液浄化技術の更なる融合を!]) -- (分かりやすい血液浄化セミナー)
- 血液透析中の血糖低下と血清インスリン濃度の関係
- 内シャント早期穿刺とその成績
- 膜型人工腎開発の現況と課題
- 第48回日本透析医学会ワークショップより『透析患者の性機能と妊娠をめぐって』
- 日本発人工臓器, その開発の現況-3
- 糖尿病維持血液透析患者における血糖コントロール指標の検討
- 持続透析患者の周術期血液浄化法--川島病院の場合 (第12回 日本急性血液浄化学会 PROCEEDINGS-2001) -- (シンポジウム2 慢性透析患者の周術期管理,とくに血液浄化法の検討)
- 血液透析患者のQOL向上を目指した在宅血液透析の課題
- 保存期慢性腎不全患者の腎性貧血に対するerythropoietin治療反応性の指標としての血清トランスフェリンレセプター
- 内シャント狭窄に対するPTA施行例の検討
- 維持透析患者の骨病変とmacrophage colony-stimulating factor
- 20.不安焦燥のため定時間の維持透析が困難であった1症例(第17回日本心身医学会中国・四国地方会演題抄録)
- 36. CAPD 症例における非イオン性造影剤のクリアランス(管理技術, 中国・四国部会)
- 529. 慢性腎不全患者における非イオン性造影剤のクリアランス(単純撮影-8 血管系造影剤)
- 529. (仮題) 慢性腎不全患者における非イオン性造影剤のクリアランス(第 47 回総会学術大会一般研究発表予稿)
- 潰瘍性大腸炎を合併した生体腎移植の1例 : 第46回四国地方会
- 当院で経過観察中である14腎移植症例 : 第44回四国地方会
- 当院におけるEDAP LT-01を用いたESWLについて : 第44回四国地方会
- 1型糖尿病透析患者における血糖変動 : 腎の血糖調節にはたす役割
- "腎性低血糖"とも称せられるべき自発性低血糖症の5症例
- 第14回徳島医学会賞受賞論文 徳島市前立腺癌検診の現況と課題(第2報)過去3年間の比較検討
- 抗体の性質に基づき選択したインスリン製剤が有効であったインスリン抗体高力価の糖尿病の1例
- 血液透析患者の鉄代謝指標の日内変動
- PDの導入--Non-SMAP (ワークショップ PDの導入--SMAP or Non-SMAP)
- 基調講演 透析液清浄化の最前線--バリデーションって難しくない (第38回日本血液浄化技術学会学術大会 未発表演題誌上発表)
- 70%イソプロピルアルコールを用いるPD接続チューブ交換手技について : 安全性と有用性の検討
- わが国の慢性透析療法の現況 : 2009年12月31日現在
- 補遺 バスキュラーアクセスの開存率
- バスキュラーアクセスの形態と罹病率および死亡率
- カテーテルトラブル
- アクセス関連疼痛
- 血清腫
- 感染
- 過剰血流
- スチール症候群
- 静脈高血圧症
- 瘤
- 狭窄・閉塞
- 患者教育
- カテーテルの管理
- 心機能とアクセス
- VA機能のサーベイランス・モニタリング
- 感染予防(AVF, AVG)
- 穿刺法
- カテーテル挿入法と周術期管理
- 動脈表在化の作製と周術期管理
- AVGの作製と周術期管理
- 徳島PDネットワーク事業の現状と問題点 (第17回日本腹膜透析医学会より) -- (ワークショップ PD療法における地域連携の重要性)
- わが国の慢性透析療法の現況(2010年12月31日現在)
- タイトル無し
- 維持透析患者に生じた舌癌の1治験例
- 外来血液透析患者の食塩摂取量と生命予後からみた食事管理の検討