逆濾過透析液を利用した自動モードによる間歇補液血液透析 (intermittent infusion HD) の考案とその臨床評価(多施設共同研究報告)
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概要
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全自動透析装置(GC-110N,JMS社製)の補液モードを利用した,逆濾過透析液による間歇補液血液透析(intermittent infusion HD, I-HD)を考案し,その臨床効果を多施設共同研究にて評価したので報告する.対象は維持透析患者20例で,通常の血液透析(normal HD, N-HD)とI-HDを同曜日に一回ずつ施行し,クロスオーバー試験にて評価した.検討項目は除去率,クリアスペース,クリアランスとし,尿素,クレアチニン,尿酸,無機リン,β2-microglobulin(β2-MG),α1-microglobulin(α1-MG),アルブミンの7種の溶質について検討した.また,透析中の循環血液量をヘマトクリットモニタにて,患者末梢血流量をレーザー血流計にて連続モニタリングし,間歇補液の有無との関係を調べた.結果として,すべての患者について間歇補液に同期した循環血液量および組織血流量の増加が観察された.治療時間平均の循環血液量減少率は,除水量がほぼ同等であるにもかかわらず,I-HDの方がN-HDにくらべ有意に低値であった.また,除去率に差違は認められなかったが,クリアスペースの平均値は全ての溶質でI-HDがN-HDにくらべ高値を示し,無機リン,α1-MGでは有意に高値であった.この結果は末梢循環が良好に保たれることにより,物質移動の推進力となる毛細血管の有効表面積やプラスマリフィリングが保持されたことにより,組織間液中に分布する溶質を効率よく移動・除去させたことによるものと考えられた.一方,α1-MGのクリアランスは,1hr値にくらべ4hr値でN-HD:73%低下したのに対し,I-HD:30%の低下にとどまった.これは間歇的な逆濾過補液により,膜への蛋白のファウリングが軽減されたため,溶質透過性が保持されたものと推察した.全自動透析装置の補液モードを利用した間歇補液血液透析は,安全かつ確実に施行可能であり,透析中の末梢循環動態の是正,患者からの溶質除去特性の改善に有用な治療であることが明らかとなった.
- 2009-09-28
著者
-
水口 潤
川島病院
-
川西 秀樹
土谷総合病院外科
-
川西 秀樹
あかね会土谷総合病院外科
-
峰島 三千男
東京女子医科大学腎臓病総合医療センター
-
金子 岩和
東京女子医科大学腎臓病総合医療センター
-
金子 岩和
東京女子医科大学臨床工学部
-
金野 好恵
東京女子医科大学臨床工学部
-
江口 圭
東京女子医科大学臨床工学部
-
山田 祐史
東京女子医科大学臨床工学部
-
吉田 友和
西新クリニック
-
川西 秀樹
()
-
川西 秀樹
土谷総合病院
-
川西 秀樹
あかね会土谷総合病院 人工臓器部
-
川西 秀樹
あかね会中島土谷クリニック 透析センター
-
松嶋 哲哉
西新クリニック
-
宮尾 眞輝
東京女子医科大学臨床工学部
-
田岡 正宏
名港共立クリニック
-
佐藤 隆
名港共立クリニック
-
萩原 雄一
川島病院
-
道脇 宏行
川島病院
-
英 理香
川島病院
-
細谷 陽子
川島病院
-
田尾 知浩
川島病院
-
土田 健司
川島病院
-
谷川 智彦
中島土谷クリニック
-
宮本 照彦
中島土谷クリニック
-
森石 みさき
中島土谷クリニック
-
中川 章郎
西新クリニック
-
岩隈 加奈子
西新クリニック
-
今井 陽子
西新クリニック
-
小畑 日出登
西新クリニック
-
江口 圭
東京女子医科大学 第4内科
-
水口 潤
川島病院 透析室
-
水口 潤
川島循環器クリニック
-
川西 秀樹
あかね会土谷総合病院
-
峰島 三千男
東京女子医科大学 腎臓小児科
-
峰島 三千男
東京女子医科大学附属腎臓病総合医療センター 血液浄化療法科
-
峰島 三千男
東京女子医科大学 第4内科
-
峰島 三千男
東京女子医大 腎センター
-
山田 祐史
東京女子医科大学 第4内科
-
峰島 三千男
東京女子医科大学附属病院 臨床工学部
-
川西 秀樹
信楽園病院 内科
-
川西 秀樹
あかね会土谷総合病院 外科
-
水口 潤
日本透析医学会
-
佐藤 隆
名古屋共立病院バスキュラーアクセス治療センター
-
森石 みさき
あかね会土谷総合病院
-
土田 健司
大阪市立大学 大学院 医学研究科 代謝内分泌病態内科学
-
金子 岩和
東京女子医科大学附属病院 臨床工学部
-
峰島 三千男
東京女子医科大学 臨床工学部
-
峰島 三千男
日本透析医会
-
松嶋 哲哉
医療法人西新クリニック
-
金子 岩和
東京女子医科大学
-
土田 健司
川島会川島病院
-
峰島 三千男
東京女子医科大学 臨床工学科
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