P9-12 アダリムマブ投与中に大動脈炎を発症したクローン病の一例
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概要
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今回我々はアダリムマブ投与中に大動脈炎を発症したクローン病の一例を経験したので報告する.症例は23歳女性.2013年3月に発熱,下痢,血便,関節痛を認め,前医へ入院した.大腸内視鏡で終末回腸から直腸まで非連続性で一部縦走傾向のある潰瘍を認め,クローン病が疑われたためメサラジン3 g/日を開始し当院へ転院した.小腸造影では遠位回腸に縦走潰瘍瘢痕がみられ小腸大腸型クローン病と診断した.発熱の遷延と関節痛の悪化を認め,病勢悪化と考え4月中旬にアダリムマブを導入した.160 mg,80 mg,40 mgの寛解導入療法で臨床的寛解導入に成功しCRPも陰転化し5月上旬に退院した.アダリムマブ導入後6週目で発熱,CRP 5 mg/dLの上昇を認めた.CT上クローン病の活動性悪化や膿瘍形成は認めなかったが,胸腹部移行部の大動脈壁肥厚を認め大動脈炎が疑われた.Gaシンチもこれに矛盾しない所見であった.導入10週目よりアダリムマブを一度中止し,大動脈炎に対し,PSL 40 mgを開始した.1週間後にはCRPの陰転化を認め,PSLへの反応は極めて良好であった.以後PSLを漸減し,再燃を認めていない.アダリムマブ投与開始後早期に大動脈炎を合併した例は稀であり文献的考察を加えて報告する.
- 日本臨床免疫学会の論文
著者
-
金井 隆典
慶應義塾大学 医学部 消化器内科
-
松岡 克善
慶應義塾大学医学部消化器内科
-
長沼 誠
慶應義塾大学内視鏡センター
-
亀田 秀人
慶應義塾大学内科学教室リウマチ内科
-
久松 理一
慶應義塾大学医学部 消化器内科
-
清原 裕貴
慶應義塾大学医学部 消化器内科
-
亀田 秀人
慶應義塾大学 リウマチ内科
-
金井 隆典
慶應義塾大学医学部 消化器内科
-
長沼 誠
慶應義塾大学医学部 内視鏡センター
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久松 理一
慶應義塾大学内科学
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