スポンサードシンポジウム5 炎症性腸疾患に対する治療戦略—生物学的製剤登場によるパラダイムシフトと今後の課題—
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概要
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炎症性腸疾患(IBD)はクローン病(CD)と潰瘍性大腸炎(UC)に分類される.我が国のIBD登録患者数は増加しておりCDは3万人超,UCは13万人超に至っている.生物学的製剤である抗TNFα抗体製剤がCDに,そして引き続きUCにも承認されIBDの治療戦略は大きく変わりつつある.CDにおいては疾患概念そのものの見直しが行われ,CDを進行性の疾患と考えるべきであるということ,長期予後の改善を最終目標にすること,が強調されるようになった.その結果,治療評価方法の見直し,従来治療の再評価が行われるとともに抗TNFα抗体製剤による早期治療介入という新しいストラテジーも唱えられるようになった. UCにおいても抗TNFα抗体製剤が承認され,中等症以上の難治性UCの治療戦略は大きく変化している.いっぽうでUCをCDのように進行性の疾患と考えるべきかどうかについてはまだ議論が必要である.抗TNFα抗体製剤の優れた治療効果はIBDの治療戦略に変革をもたらしたが,抗TNFα抗体製剤がIBDの自然史を変え長期予後を本当に改善するのかどうかは今後証明されなければならない.さらに副作用のモニタリング,高騰する医療費という新たな問題も生じており,どのような患者が抗TNFα抗体製剤の早期介入を必要とするのか,抗TNFα抗体製剤からの離脱は可能なのか,といった課題が明らかにされなければならない.また我が国では抗TNFα抗体製剤に対する一次無効例への対応手段がなく,抗TNFα抗体とは作用機序の異なる治療薬の開発承認が求められている.
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