仮想的有能感研究の展望
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ここでは現代の若者の心性を表現する概念として我々が創出した「仮想的有能感」に関する約 10 年間の研究を概観した。まず, この概念に関わる重要な3つの問題について触れた。第1に仮想的有能感に自尊感情を組みあわせ, 4つの有能感タイプをつくることで, 本来の概念規定により近似した個人の選択を可能にした。第2に本来無意識的な仮想的有能感は他者軽視の傾向を測るACS-2 によっているが, その尺度に潜在的自尊感情が反映されていることを潜在連合テストを使った研究で実証した。第3に仮想的有能感が若者だけのものなのかについても横断的研究により明らかにしようとした。 他に様々な領域で展開した研究をまとめた。仮想的有能感の高い人の特徴として, (1)日常的に負の感情を持ちやすいこと, (2)負の対人感情を形成しやすいこと, (3)受容的な養育を受けず, 勤勉性も発達していないこと, (4)競争的ではあるが, 努力志向でなく, 学習を嫌うこと, (5)問題行動を生じやすいこと, (6)就労への意欲が希薄なこと, (7)外国と比較すればアメリカや韓国では仮想的有能感も自尊感情も我が国より高いこと, などが示された。最後に問題点や今後の研究の必要性について討論された。
著者
関連論文
- PF030 有能感タイプと学業に関するコミュニケーション
- 測定・評価(709〜715)(部門別研究発表題目・討論の概要)
- 潜在的・顕在的自尊感情と仮想的有能感の関連
- 教授スキル評価の視点に関する検討
- 授業適応を規定する言語能力と言語的経験
- 教授技能の分析的研究 : 実習生と熟練教師を比較して
- 人格(324〜327)(部門別研究発表題目・討論の概要)
- 仮想的有能感と日常の対人関係によって生起する感情経験 : 抑鬱感情と敵意感情のレベルと変動性に注目して
- 仮想的有能感と学習観および動機づけとの関連
- 高校生における仮想的有能感といじめとの関連
- PA026 仮想的有能感の形成と文化的要因 : 大学生を対象に
- PC1-49 仮想的有能感の形成と文化的要因 : 中学生を対象に(人格)
- PC1-50 仮想的有能感と対人関係との関連(1) : 仮想的有能感の変化に影響を及ぼす要因の検討(人格)
- PC1-51 仮想的有能感と対人関係との関係(2) : 仮想的有能感の低下と教師のかかわり方(人格)
- B-33 高校生における仮想的有能態と問題行動 : 部活動に着目して
- PD031 仮想的有能感からみた高校生の問題行動
- 仮想的有能感の時代(特別講演2,一般公開,一般講演(口頭発表),第48回日本歯科理工学会学術講演会)
- 高校生の問題行動の規定因の検討 : 有能感,教師・親・友人関係との関連に着目して
- 仮想的有能感の構成概念妥当性の検討
- P1-28 仮想的有能感と性格検査との関連 : 16PFとの関連から
- Task-based Syllabusの開発の試み : Long Term Projectsが生徒の学業達成・動機づけに及ぼす影響
- 子どもたちの感情はどのように変化したか : 教師の目からみた特徴
- 個別学習アシスト教室に関する研究(5) : 個別学習アシスト教室参加者の動機づけの変化
- スポーツに関する自伝的記憶 : する人としない人の相違
- PG40 有能感が生活事態に伴う感情に与える影響 : 中・高校生の日常生活に焦点を当てて
- 集団課題解決に関する研究 (II) : グルーピングと解決のストラテジーの効果について
- 309 集団課題解決に関する研究II : グルーピングと解決のストラテジーの効果について その3(300 人格)
- 308 集団課題解決に関する研究II : グルーピングと解決のストラテジーの効果について その2(300 人格)
- 307 集団課題解決に関する研究II : グルーピングと解決のストラテジーの効果について その1(300 人格)
- 外発的動機づけと内発的動機づけの間 : 「統合理論」の検討
- II. 学力の個別差にどう対処するか(シンポジウム2,準備委員会企画シンポジウム)
- 14 「仮想的有能感」をめぐって(自主シンポジウム)
- 733 学習動機に関する研究(原因帰属・学習意欲,教授過程4,教授過程)
- III 授業のサポーター : 新しい学級の力を求めて
- PA034 仮想的有能感の発達的変化 : 横断データを用いた検討(ポスター発表A,研究発表)
- PA033 仮想的有能感尺度の妥当性検討(ポスター発表A,研究発表)
- VI 内的・外的統制型をめぐって(シンポジウム6,準備委員会企画シンポジウム)
- 818 教授スキル評価の視点に関する検討(教授スキル,教授過程3,口頭発表)
- 中等教育における有能感の形成
- 中高一貫教育実践の課題 : 知の教育と心の教育の間
- 総合人間科はどのように役立つか(2)
- 研究経過報告(教育心理学教室教官の研究状況報告)(1)
- 動機づけ機能としての自伝的記憶 : 感動体験の分析から
- 外発的動機づけと内発的動機づけの間 : リンク信条の検討
- IE スケールの構成概念妥当性についての予備的検討
- 611 小学生の学習適応を規定する言語的要因(2)(教授・学習2,教授・学習)
- 610 小学生の学習適応を規定する言語的要因(1)(教授・学習2,教授・学習)
- Children refusing to learn, and our school's response : Approaches to solve the problem based on contemporary learning theory
- 中学生・高校生の社会的態度に関する研究 (1)
- 713 Locus of Controlに関する研究(2)(700 測定・評価)
- P4008 児童のリーダーへの動機づけに関する研究 (2) : 学級集団の構造との関連について
- PF48 悲しみと怒りの情動を分けるもの : 自己責任の認知と自己愛的有能感の影響
- 他者軽視に基づく仮想的有能感 : 自尊感情との比較から
- 教授過程5029 外発的動機づけと内発的動機づけの間
- 520 外発的動機づけから内発的動機づけへ(社会A(4),口頭発表)
- 高校生における仮想的有能感と学業に関するコミュニケーション
- 青年心理学の境界線 : 新たな研究領域を求めて(1997年総会 シンポジウム)
- 統合に向けて : 外発的動機づけと内発的動機づけの関係
- 外発的動機づけと内発的動機づけの間
- 「教室場面における達成動機づけの原因帰属理論」(博士論文要旨・修士論文題目)
- 習熟度別学級編成の是非について(II.学力の個別差にどう対処するか)
- 312 達成動機の測定について(300 人格)
- 仮想的有能感研究の展望
- 学習 810 達成目標傾向に関する日本・中国・米国の比較研究
- 学習 809 自発的原因帰属 : 文章完成法による日米比較
- PD31 感情日誌の試み
- 樋口論文へのコメント
- 社会 I-5 先生の雑談が生徒にもたらすもの
- 教授過程 2-3 大学生の動機づけ : 教職科目の場合
- 326 Locus of Controlに関する研究(3)
- 311 達成対象に関する研究(300 人格)
- 大学生における仮想的有能感と就職イメージおよび時間的展望
- タイトル無し
- 24-J-14 動機づけ理論の再構築に向けて : 現実からみた人の動機づけ研究の課題(自主企画)
- PB041 仮想的有能感と学業に関するコミュニケーション(ポスター発表B,研究発表)
- PE029 帰属様式と仮想的有能感 : 仮想的有能感概念とその尺度の再検討(3)(ポスター発表E,研究発表)
- PE039 仮想的有能感尺度に対する項目反応モデルの適用と検討 : 仮想的有能感概念とその尺度の再検討(1)(ポスター発表E,研究発表)
- PE033 対自・対他評価と仮想的有能感の関係 : 仮想的有能感概念とその尺度の再検討(2)(ポスター発表E,研究発表)
- 25-J-06 仮想的有能感のあれからとこれから(自主企画)
- PB043 有能感タイプとユーモアの関係(ポスター発表B,研究発表)