細菌による糖の異性化反応に関する研究(第6報) : 分離菌S-48のD-マンノースイソメラーゼについて(その1)
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概要
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新しく分離した菌株S-48のD-マンノースイソメラーゼの酵素的性質について調べた結果は,次のようである. (1) 最適pHは7.8に,また最適温度は40°付近に認められた. (2) 熱には弱く50°, 5分間の加熱で90%以上失活するが,この熱失活はCaCl2, NaClの存在によりかなり保護される. (3) 本酵素反応は可逆反応であり,平衡はD-マンノースに作用させたとき約75%前後D-フラクトースに異性化され,またD-フラクトースに作用させたときには約25%前後のD-マンノースが生成した. (4) 本酵素の基質について調べた結果は, D-マンノースのみに作用し, D-グルコース, D-ガラクトース, D-キシロース, L-アラビノースからはいずれも相当するケトースは生成しなかった.またD-ソルビトール, D-マンニトールからもD-フラクトースの生成は見られなかった. (5) 阻害剤について試験した結果, p-クロロマーキュリベンゾエートにより強く阻害され,またモノヨード酢酸,アザイドによっても阻害された. p-クロロマーキュリベンゾーエートによる阻害は,システインやグルタチオンの添加により回復するが,システインやグルタチオンを単独に添加したときには賦活効果は見られなかった. (6) 金属イオン添加の効果について試験した結果,いずれも効果なく, Cu++, Zn++, Ni++などにより強く阻害され, Mg++, Mn++, Co++,によってもわずかに阻害された. (7) 金属キレート剤の効果について試験した結果,いずれも阻害効果なく,また賦活効果もないので本酵素反応には金属イオンを要求しないものと推定される. (8) 本酵素は培地炭素源としてD-マンノース, D-グルコースによって強く酵素が生成されたが,このほかD-ガラクトース, D-フラクトース, D-マンニトール, D-キシロース,蔗糖,澱粉などによっても生成された. (9) S-48菌の培養経過と酵素活性について試験した結果,単位菌体中のD-マンノースイソメラーゼ含有量は対数生育期に比較的多く存在した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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