グラジオラス,アイリスおよびクロッカスの代謝に及ぼすフッ化水素ガスの影響

概要

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1) 呼吸商はHF曝露によりグラジオラス,アイリスおよびクロッカスのいずれもが低下を示した. 2) グラジオラス葉の酸素吸収は,明曝露により著しく増大するが,暗曝露により,むしろわずかに低下を示した. 3) グラジオラス葉のタンパク質含量は,明曝露により著しく減少するが,暗曝露したそれのタンパク質含量はほとんど変化しなかった. 4) リソゾーム酵素の1つである酸性フォスファターゼ活性は, HF曝露により阻害される.その阻害の強さは,グラジオラス>アイリス>クロッカスの順になる. 5) 呼吸商(X)と酸性フォスファターゼ活性の相対値(Y)との関係は,ここで用いた3種のアヤメ科植物ではY=0.897X+0.003の回帰直線を与え,截片はほぽ0であり,また勾配もほぼ1に近く,相関係数γ=0.983で非常に高い値を示した.このように酸性フォスファターゼ活性は,葉の呼吸商および酸素吸收とよい相関性を示し,気中フッ化物汚染の指標となり得る可能性があると考えられる. また本研究で用いた気中フッ素濃度は3.1〜3.4μg/m3 F-であり,ほぼ3.5ppbのHFに相当する.
社団法人日本農芸化学会の論文