人乳乳清蛋白質のアクリルアミドゲル電気泳動とゲル濾過による分画
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概要
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人乳乳清蛋白質についてアクリルアミドゲル電気泳動,免疫電気泳動およびセファデックスG-150によるゲル濾過によって検討し,次のような結果が得られた. (1) アクリルアミドゲル電気泳動によれば,人乳乳清蛋白質には牛乳β-ラクトグロブリンに相当する成分は認められない. (2) 分娩後5日ごとに1カ月にわたって同一婦人より採取した人乳の乳清蛋白質のアクリルアミドゲル電気泳動によれば,日を経るに従ってグロブリンが減少し,α-ラクトアルブミンの割合が増す傾向がある. (3) 免疫電気泳動法およびOuchterlony法によれば,人常乳の乳清蛋白質中には8以上の蛋白質成分が含まれており,主要蛋白質としては血清アルブミン,α-ラクトアルブミンおよび赤色蛋白質があげられる. (4) セファデックスG-150ゲル濾過によりα-ラクトアルブミンは容易に単離され,その割合は全乳清蛋白質中の約50%である.またその溶出位置は牛乳α-ラクトアルブミンとよく一致するので,分子量は約16,000前後と推定される. (5) 人乳α-ラクトアルブミンと牛乳α-ラクトアルブミンのアミノ酸組成は,トリプトファン,アスパラギン酸,バリンおよびヒスチジンを除けばよく一致する.
著者
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長沢 太郎
玉川大 農
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長沢 太郎
森永乳業株式会社中央研究所
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清沢 功
森永乳業株式会社中央研究所
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朝内 ひろ美
森永乳業株式会社中央研究所
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桑原 邦介
森永乳業株式会社中央研究所
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清沢 功
森永乳業株式会社,中央研究所
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