人乳蛋白質に関する研究(第6報) : 尿素による人乳カゼインの分画について
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概要
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人乳カゼインを尿素濃度の相違によりα-とβ-カゼインと思われる区分に分画し,それぞれをα-およびβ-カゼインと仮称し,その性質について観察した.その結果,α-カゼインはpH 7.0では約18%が溶解するのみであり,著しく糖類含有量が高かった.一方β-カゼインは容易に溶解し, 20°において塩化カルシウムの濃度1mMでは白濁して沈殿物を生じたが, 5°では完全に透明であった.α-とβ-カゼインはpH 12.0では電気泳動的に単一であったが, pH 8.5におけるα-カゼインの濾紙電気泳動図は明瞭な泳動像が得られなかった. pH 12.0における吸収スペクトルではα-およびβ-カゼインともに290mμにおいて極大吸収を示したが,α-カゼインは284mμにも吸収の極大を示した.α-とβ-カゼインの吸光係数(ε 19mg/ml10mm:290mμ)は13.0および9.39であった.α-とβ-カゼインのpH 12.0における易動度は-6.0および-5.4×10-5cm2・volt-1・sec-1.であり, pH 8.5におけるβ-カゼインの易動度は-2.4×10-5cm2・volt-1・sec-1であった.また,β-カゼインの沈降常数は1.91Sであった.
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