人乳蛋白質に関する研究(第3報) : 尿素溶液中における人乳および牛乳力ぜインの混濁性
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概要
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(1) 人乳カゼインは,牛乳カゼインが全く透明となる水酸化ナトリウム濃度でも高い混濁度を示した. (2) 7.OM及び6.OMの尿素溶液にカゼインを溶解し,溶液の混濁度を600mμないし800mμの各波長で測定したところ,人乳カゼインの混濁度は波長の増加に伴なって減少したが,牛乳カゼインの混濁度はほとんど一定の値を示した. (3) 7.OM尿素溶液に溶解したカゼイン溶液を蒸溜水により稀釈したところ,人乳,牛乳カゼインとも混濁度は著しく増加するが,尿素と水酸化ナトリウムの混合液に溶解したカゼイン溶液の混濁度は減少した. (4) 尿素と緩衝液(Walpole)を混合して用いた場合,人乳カゼインの混濁度はいずれのpHにおいても減少したが,牛乳カゼインはpHの相違により混濁度が著しく変化した. 本研究について終始御鞭撻いただいた当社社長大野勇氏に深甚の謝意を表するとともに,人乳の採取に御協力いただいた東京都港区保健所並びに目黒区保健所に厚く御礼申し上げます.
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