栽培および野生ミツバの形態ならびに生態に関する研究
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概要
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本邦各地から集めた栽培ミツバ5系統および野生ミツバ36点を堺市の大阪府立大学圃場で栽培し, 茎葉の色, 草型, 葉面積, 抽台期, 開花期, 種子休眠などの形態, 生態につき調査して, 関東および関西両地方の栽培ミツバの系統間差異や, 栽培ミツバと野生ミツバの関係ならびに上記各形質の地理的分化について検討した。1. 栽培ミツバは各系統とも, 茎葉にアントシアンの発現をみず緑色であり, 葉面積は大型で, 草型も立性であるなど栽培や利用上の実用形質に関してすぐれていた。一方, 野生ミツバは茎葉にアントシアンを含み赤褐色を示し, 葉面積や草型では変異の幅が広かつたが, とくに自生地の地理的条件との関連は認められなかつた。2. 栽培ミツバの各系統は, すべて抽台, 開花とも早かつたが, 野生ミツバにも南方の暖地産のものに抽台, 開花の早いものがあり, 自生地の緯度ならびに気温との間に関連が認められた。3. 関東と関西の栽培ミツバを春まきじて抽台, 開花期を比較したが, 前者は後者にくらべて抽台, 開花とも遅れる傾向があり, さらに5月以降のおそまきでは不抽台となり, 系統間に差異が認められた。4. 採種直後の種子休眠に関して, 栽培ミツバは休眠がなく, 野生ミツバでは南方暖地 (鹿児島県佐多岬, 高知県室戸岬, 和歌山県大島, 静岡県伊豆半島) の株から得た種子は休眠がないか浅い傾向を示し, これら以外の地方の株から得た種子には休眠が認められた。種子休眠は5°Cで10〜60日間の冷蔵処理で打破されたが, 休眠の程度によつて有効な処理期間は異なつていた。
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