炭酸ガス環境に関する研究 (第2報) : CO2濃度がナスの生育, 開花および結実におよぼす影響
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概要
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大気中のCO2濃度とナスの生育, 開花, 結実の関係を検討するため, 品種千両を用いて, 1963年12月には種, 育苗し, 1964年3月末に生育箱内の礫耕ベンチに定植, 同年4月1日から6月末までの3か月間, CO2濃度200, 300 (標準大気), 900および3.000ppmの4段階の処理区を設けて処理を行なつた。(1) 処理開始後, 高濃度区はCO2濃度に応じた生育の促進を示し, 植物体や果実の重量の増加がみられ, 一方, 低濃度区 (200ppm) では生育の抑制がみられた。しかし, 草丈では処理区間による大きな差は認められなかつた。また, 本実験のCO2濃度の範囲では, ナスの形態になんら異常は認められなかつな。(2) 実験打ち切り日における地上部の新鮮重および乾燥重の増加は, 3,000ppm区は300ppm区の1.5および1.6倍を示し, 葉面積では, 3,000ppm区は300ppm区の1.2倍以上を示し, CO2濃度処理は1枚当たり葉面積の増大と葉数の増加に影響を与えた。また, 処理期間中の平均純同化率は, 処理濃度に応じて高くなり, 3,000ppm区は300ppm区の約2倍の値を示した。(3) CO2濃度が高まるにつれ株当たり開花数が増加し, 長花柱花の出現の歩合が増大した。また, 花粉稔性率は, いずれの区も良好で, 区間に差が認められなかつた。(4) 果実の収量は重量, 個数ともにCO2濃度の高さに応じて増加し, 株当たり総収量は, 3.000ppm区は300ppm区にくらべて新鮮重および乾燥重とも約3倍を示した。(5) CO2濃度処理による葉中のクロロフィル含有率や地上部乾物中のN, P, K含有率に対する影響はとくに見られず, 生育促進に伴つて株当たり各含量の増加がみられた。
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