栽培および野生フキの形態,生態ならびに細胞学的研究 (第1報) : 葉の形態,萠芽と開花習性ならびに種子の発芽について
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概要
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本邦各地から集めた栽培および野生フキを堺市の本学圃場で栽培し,葉の形態や,萠芽や開花期あるいは草勢,種子の休眠などの生態を調査して,栽培フキと野生フキとの関係ならびにその地理的分化もあわせて考察した。 1.栽培フキに共通する特徴は葉身が大きく,葉柄が長く,草勢も強くて萠芽の早いという実用的にすぐれた性質をもつており,さらにフキの一般習性とは逆に萠芽が開花より早くなる傾向があつた。 2.野生フキは形態,生態とも変異に富んでおり,中には栽培フキと同じようなすぐれた特性をもつていて,そのまま栽培品種として畑に移してもよいような株もあつたが,自生地の緯度や高度に関係する一定の地理的変異は認められなかつた。 3.アキタブキと普通のフキとを明瞭に区別できるような非連続的形質はみあたらず,アキタブキを高温や乾燥の伴なう不適当な環境条件下で栽培すると,自生地でみられたような巨大性を示さず普通のフキのようになる。 4.野生フキの種子に休眠はみとめられなかつた。 5.現在の栽培品種は,実用的にすぐれた形質をもつていた野生フキが山野から掘りとられて栽培化され,以後その地下茎の分割増殖が今日まで続けられたものであろう。
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