炭酸ガス環境に関する研究 (第1報) : CO2濃度がフダンソウの生育におよぼす影響
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概要
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空気中のCO2濃度とフダンソウの生育の関係を検討するため, CO2濃度を調節できる生育箱を製作し, 夏(1963年, 4〜7月) および冬 (1964年, 1〜3月) に, それぞれ9週間, 自然光下で標準大気区とその2倍, 3倍, 5倍, 10倍および20倍にCO2濃度を高めた区を設け, 両時期におけるCO2施用効果について検討した。また1963年8月末から9月始めの24日間, 標準大気区とその10倍, 50倍および100倍区の高CO2濃度処理がフダンソウにおよぼす影響について実験を行なつた。なお, すべての栽培は礫耕法によつた。1. 夏と冬の処理時期の異なつた実験では, 処理後1〜2週間より処理濃度に応じて草丈の伸長や葉身の肥大がみられ, 4〜5週間よりはさらに顕著な生育促進を示した。2. 実験打ち切り日の9週間めにおける茎葉の新鮮重および乾物重ともにCO2濃度に比例して増加し, 夏の実験では標準区にくらべ, 10倍区ではそれぞれ約5倍に達し, 冬の実験では10倍区でそれぞれ約1.7倍, 20倍区では新鮮重が3.4倍, 乾物重では2.5倍であつた。なお上記の乾物生産量における差異は季節による日射量の差異によるものであつた。3. 実験打ち切り日における葉面積および草丈は夏の実験の10倍区では標準区に比べそれぞれ2.5倍と1.8倍, 冬の実験では10倍区がそれぞれ1.3倍と1.1倍, 20倍区では2.2倍および1.7倍であつた。4. 乾物中のN. P. K含有率は処理による大差はみられず, 株当たりの各含有量では生育量に比例して処理濃度の高い区ほど増加がみられた。5. CO2濃度を極端に高くした (標準大気濃度の10倍, 50倍および100倍) 実験では濃度に応じた生育量の増加が認められ, 100倍区 (CO23%) でも飽和に達しなかつた。また, これらの濃度下における生育障害もまつたく認められなかつた。
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