セリの形態および生態に関する研究 (第1報) : 栄養生長期における栽培および野生セリの形態的差異
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概要
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わが国の各地から集めた栽培セリ26系統および野生セリ80系統を1961年10月から1962年の1月まで堺市の大阪府立大学において湛水ベット内で栽培し, 草型, 草丈および葉柄長, 複葉の回数, 頂小葉の形と葉尖およびその大きさ, 茎葉の色, 草勢などの形質について調査し, 栽培セリと野生セリの差異ならびに上記形質の地理的分化についても検討した。1. 草型に関して栽培セリの大部分が直立型でほふく型はみられないのに対して, 野生セリでは中間型およびほふく型が多く直立型は少なかつた。2. 草丈, 葉柄長において, 栽培セリは野生セリより平均値においてまさり, 概して前者に伸長の良好なものが多かつた。また, 頂小葉の長さや幅においても栽培セリは野生セリにくらべて長く, その形も心臓形で丸味を帯びた鈍鋸歯のものが多かつた。3. セリの茎葉の色は赤褐色から緑色まで種々の変異を示すが, 野生セリでは葉や葉柄の褐色のものが多い傾向があり, 栽培セリでは緑色のものの出現歩合が大きかつた。4. 上記の各形質に関し栽培, 野生セリの変異と, その産地や自生地との間に明らかな地理的関連を認めることはできなかつた。5. 栽培セリは野生セリにくらべ外観, 草勢などにすぐれた特性を示すものが多かつた。しかし両者の間には形質上非連続的な差異はなく, 今日の栽培セリは野生セリが長年の選抜によつて成立したものと考えられる。供試した栽培セリのうち, 仙台市, 東京都, 京都市および松江市らの各産地の系統がとくに優良であつた。
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