四季成り及び一季成りイチゴ品種の花芽形成に及ぼす低温遭遇の有無と日長の影響
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概要
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1. 栽培イチゴの四季成りと一季成り品種における花芽形成の生理的特性の違いを明らかにする目的で, 前歴としての低温遭遇の有無と日長条件が花芽形成に及ぼす影響を3つの実験によって検討した.2. 低温未遭遇株の花芽形成に及ぼす日長の影響を明らかにするため, 四季成り品種の ′Rabunda′, 一季成り品種の′福羽′と′宝交早生′及び四季成り品種ではないものの四季成りと一季成り品種の中間的性質を示す′Aiko′ の ′Kletter′ の低温未遭遇の子株を用いて, 温度20°C一定の8時間と16時間日長条件下で1987年10月28日より30日間生育させ, 処理期間中の花芽形成を調査した. 四季成り品種の ′Rabunda′ と中間性品種の′Aiko′ 及の ′Kletter′ は, 8及び16時間の日長条件ともに花芽分化していたのに対し, 一季成り品種の′福羽′と′宝交早生′は8時間日長でのみ花芽分化が認められた.3. 低温遭遇株の長日条件下における花芽形成を明らかにするため, 四季成り品種の ′Rabunda′, 中間性品種の ′Kletter′ 及び一季成り品種の′宝交早生′を用い, 1986年11月20日から約4.5カ月冷蔵 (1°C) した株を翌年4月5日から温度20°C一定•16時間日長条件下で生育させ, それらの生長と花芽形成の状況を6月18日まで調査した. ′Rabunda′ は第1次花房の発生した後, 5〜6枚の葉を展開し, 次の花房が発生した. ′Kletter′ と′宝交早生′は第1次花房を発生した後, ランナーを盛んに発生し, 新たな花芽の形成は認められなかった.4. ′Rabunda′ の花芽形成に及ぼす日長の影響を明らかにするため, 1987年11月20日より約2カ月間冷蔵処理 (1°C) した株を温度20°C一定の8時間と16時間の日長条件下で, それらの生長と花芽形成の状況を約2カ月間観察した. 両日長条件下の株は5〜6枚の葉を分化した後, 新たな花芽が分化した. ただし16時間日長条件下の株はそれ以後約2枚の葉が分化してから, 次の花芽が分化した. 一方, 8時間日長条件下の株は約4枚の葉が分化した後, 次の花芽が分化した.5. 以上の結果より, 四季成り品種 ′Rabunda′ は温度が20°Cの条件下において, 1) 短の?一びに長日条件下で花芽分化するものの, 短日に比べ長日条件下でより花芽分化もが安定すること, 2) 低温に約4カ月遭遇した後でも, ほぼ連続的に花芽分化することが, 明らかになった. また中間性品種の ′Kletter′ は低温未遭遇では日長条件に拘らず花芽分化するものの, 約4.5ヵ月の低温遭遇では花芽分化が約2カ月抑制されることが明らかになった. このことから, 四季成りイチゴ品種は前歴として遭遇した低温及び以後の日長に対する感受性が乏しいため連続的な花芽形成を示すと考えられる.
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