ガラス室の温度制御に関する研究 (第1報) : 植栽のない密閉したガラス室の熱収支について
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概要
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1959年7月下旬から8月上旬にかけ植栽しない密閉小型ガラス室の温度および熱収支について測定した。 1.温室内の最高温度は外気より22°C以上高温で,最高温度の発現時刻は戸外のそれより1時間遅れた15時であつた。室内は最高温時を過ぎると温度は急降下し19時には最高気温より22°Cも下り,内外差僅か3.6°C 20時以後早朝までは2°C前後の差となり,夜間の保温には期待したほどの効果が認められなかつた。 2.室内は常に対流があり,午前中は東寄りに,午後は西寄りに上昇域があり両側で下降している。夜間になると日中と逆で中央部で下降して両側で上昇し,中央部に低温域があることは興味深い。 3.夜間は温室効果現象が見られるが室内に蓄えられた熱は対流または乱流拡散などによつてガラスを暖めガラス面から裸地とほとんど同量の放射放熱をしている。室内地表面は日の出とともに受熱状態となり,14時30分頃より放熱に移るが受熱量全部を放出しない。それにもかかわらず地温が低下するのは横方向に逸散するものと思われる。 4.日中ガラスによる放射熱の反射吸収量が温室効果による保温熱量より多く,温室効果現象の効果は認め難く,ガラス室が裸地より高温となるのは,外気との混合が少なく,熱伝達がわるく,蒸発が阻止されるなどのためと思われる。 5.ガラス両面の顕熱収支が室内地表面の有効放射量に大きく影響し,温室効果現象と同等の大きい役割を持つものと考えられる。
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