ペーパークロマトグラフィーによるアブラナ属および近縁属の系統類縁の解析
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概要
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アブラナ属作物育種の基礎的研究として, アブラナ属およびその近縁属の種間および種内の分化の様相とそれらの類縁性を検討するため, 2次元ペーパークロマトグラフィーによる葉のメタノール抽出成分の分析を行なった.Raphanus sativus (ゲノム構成; RR) は, その検出された18個のスポット中9個が種特有のスポットパターンを示し, アブラナ属の Brassica campestris(AA),B. nigra(BB), B. oleracea(CC)および Sinapis arvensis(SS) とは著しく異なることが明らかになった. それゆえ, 合成複2倍体種の Raphano-brassica (RRCC)は, RおよびCゲノム種のスポットパターンの大きな相違により, 両ゲノム種によって構成されていることがそのクロマトグラム上に明らかに示された.A, B, CおよびSゲノム種は, ゲノム固有のスポットパターンによって相互に区別されたが, 多くの共通するスポットを有した. このためアブラナ属の自然および合成複2倍体種 (AABB, AACC, BBCC) では, それらのスポットパターンが, 構成する基本種のスポット群の単純な総和として現われなかった. またAおよびCゲノム種内の各品種は数個のスポットの有無によるわずかの相違で区別され, これらのスポットパターンに関する種内変異は形態学的分類とは一致した傾向を示さなかった.スポット群の数量的な取り扱いにより, 供試植物の相対的親和性の表示を試みた結果, Rゲノム種は他ゲノム種から大きく隔たり, Sゲノム種はBゲノム種に最も近い関係にあり, またA-Cゲノム種間がA-Bゲノム種間, B-Cゲノム種間より親和性が高く, Bゲノム種はCゲノム種よりAゲノム種により近いことがよく表現された.
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