食用ギク及びツマギクの特性と品種分類
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概要
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食用ギク及びツマギクの品種分類と育種上の問題点を明らかにするため, 現在栽培されている品種を主に東北地方, 新潟県及び愛知県などから収集し, それらの形態, 生態及び花弁の品質などについて調査を行った. 食用ギクは元来, 観賞用ギクの利用に始まったものと考えられるが, 食用ギクとしての栽培歴がかなり長い品種に加えて, 近年に至っても観賞用ギク品種からの転用が認められる. 収集した食用ギク品種118点及びツマギク品種18点について諸特性を比較検討した結果, それぞれ52及び15品種に整理された. 収集品種の主な特性は次のような傾向を示した.1. 花色は食用ギクでは黄, ピンク, 赤, 赤紫, 白の5種類に大別され, 大部分は黄かピンクであったが, ツマギクはすべて黄であった.2. 花弁の形状は食用ギクでは平弁, さじ弁, 管弁に大別され, それらが単独または2種類が種々の割合で混在していたが, ツマギクはさじ弁の1品種を除きすべて平弁であった.3. 香りは食用ギク, ツマギクを通じて芳香を有する品種のほか, まれに好ましくない香りを有する品種が見いだされた.4. 苦味は食用ギク, ツマギクいずれも弱い品種が多かった. 食味は食用ギクの半数が不良であった上に, 秋ギクに比べ夏ギク及び八•九月咲きギクに苦味が強く, 且つ食味不良の品種が多かった. 苦味が強い, または中程度の品種はすべて食味は不良であったが, 苦味が弱い品種でありながら食味不良の品種も多かった.5. 開花期は食用ギクでは夏ギク, 八•九月咲きギク, 秋ギクに分類でき, ツマギクはこれらに加えて寒ギクが見いだされた.6. 近年, 観賞用ギクから食用ギクに転用された品種には, 食味不良の品種が多かったのに対し, 一部交雑により育成された品種には品質の優れた例が見いだされた. 更に栽培歴が長い食用ギク‘延命楽’などではいくつかの特性について異なった栄養系が見いだされた.
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