四倍体小輪ギク'YS' (2n=36)と六倍体キク品種(2n=54)との交雑により得た実生個体の特性
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概要
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栽培ギク中,染色体数が最も少ない四倍体小輪ギク'YS'(2n=36)の育種的な利用価値および正六倍体品種との交雑実生個体の特性を明らかにする目的で行った.葯の発育過程を組織学的に観察の結果,花粉の成熟後も葯のタペータム細胞層が崩壊しないことが判明し,'YS'は花粉を放出しないタイプの雄性不稔とみなした.'YS'およびその倍加個体(2n=72)×正六倍体(2n=54)3品種の交雑実験を行った.1花序当たりの獲得種子数および種子の発芽率は,交雑組合せによりそれぞれ5.3〜6.4,46.9〜66%と異なった.実生当代の諸特性を調査した結果,生育は概して旺盛で,草丈は両親の中間値に比べて高い個体が多かった.花型は筒状花の花冠の発達程度により,'YS'(弁化型)×3品種(非弁化型)では花粉親型が多かった.花径は'YS'(小輪)×3品種(中輪)では両親品種の中間値に比べて約10%小さかった.花粉稔性は'YS'(5.3%)×3品種(78.6〜83.1%)では花粉親のそれに類似し,雄性不稔性は,'YS'(雄性不稔性)×3品種(雄性可稔性)ではすべて雄性可稔性であった.染色体数は,'YS'(2n=36)×3品種(2n=54)では2n=45が最高頻度で生じた.実生育成後の諸特性の安定性は,4年間調査した結果,調査年次および交雑組合せにより異なったが,変化しやすい形質は草丈,草姿および開花開始日,安定した形質は花径,花芯径および花型(筒状花の形態),最も安定した形質は花色であった.本研究により,'YS'は交雑母本として,染色体数がかなり異なる品種との育種に利用が可能であると考えられた.さらに'YS'の成立出来を考察した.
- 園芸学会の論文
- 2004-01-15
著者
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