ニホンナシのみつ症状果における細胞壁多糖類, 構成単糖類及び細胞壁分解酵素活性の変化
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概要
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ニホンナシ果実のみつ症状部分における組織崩壊を, 細胞壁多糖類, その構成単糖類及び細胞壁分解酵素活性の変化によって検討した.みつ症状部分でのヘミセルロースを分解するキシラナーゼ, アラバナーゼの活性は, 症状初期 (段階1-2) においてのみ健全部分より増加したが, 中期 (段階3-4),後期 (段階5-6) ではもはや活性の増加は認められなかった. その他のヘミセルラーゼ (β-キシロシダーゼ, β-グルコシダーゼ, β-ガラクトシダーゼ) については, 両果肉部分で大きな活性の差は認められなかった. 一方,症状初期でのエンドセルラーゼ (中性型), 全段階でのポリガラクチュロナーゼの活性増加は前回と同様顕著であった.みつ症状部分での細胞壁多糖類のうち, 特にセルロース成分の分解が大きかった. 即ち, みつ症状部分のセルロース成分は, 症状初期において既に健全部分のものよりも減少し, その後症状の進行に伴いその減少はより助長され, 中期では健全部のセルロースの約85%, 後期では75%になった. また, 酸可溶性ヘミセルロース成分は中期, 後期において症状部分で減少したが, アルカリ可溶性ヘミセルロース成分は両部分において大きな差は認められなかった. 上に述べたみつ症状部分での細胞壁多糖類成分の分解過程は, 果実の過熟に伴う細胞壁多糖類の分解過程と類似していることから, ニホンナシのみつ症状は, 果肉組織の一部分が他部分よりもより早く過熟になるために発生するように思われる.
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