収穫期, 果実利用季節から見たニホンナシ品種の歴史的変遷と地理的分化
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概要
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1. ニホンナシ在来品種374品種, 育成品種41品種の収穫期を在来品種の調査報告文献と保存品種の調査結果より求め, 収穫期の遺伝的変異を明らかにし, 収穫期, 果実利用季節から見た栽培品種の歴史的変遷, 地理的分化を調べた.2. 在来品種の収穫期の記録はその由来地での収穫期であるため, 品種内の収穫期産地間変異で補正して, 遺伝的な品種固有の収穫期を判定した.早生から晩生までを-5.0から5.5まで0.5間隔で22の収穫クラスを設定するとともに, 各クラスに相当する41の指標品種の収穫期から, 全国を八つの収穫季節区に分け, 各区ごとに指標品種による標準収穫曲線を作成した. 在来品種の収穫期をこの曲線に当てはめ, 同時期に収穫される指標品種の収穫クラスを求めて補正した.3. 神奈川県平塚市の収穫期で見ると, ニホンナシの収穫期は7月下旬から8月中に収穫される品種が早生,9月中と10月上旬の品種が中生, 10月上中旬以降, 11月中旬にかけて収穫される品種が晩生に相当した. 東北地方の収穫期間は3.1〜3.5か月, 西南暖地においては3.8〜4.2か月にわたると思われた.4. 江戸時代には晩生品種が多く, 貯蔵果実の利用も多いと思われ, 明治時代以降, 晩生品種の割合が低下して早生品種が増加した. 育成品種は早生が多く, 晩生品種の割合が著しく低かった.5. 北陸, 中部, 中国地方には早生から晩生まで広く在来品種が存在したが, 関東地方では早生が, 東北地方では中生が, 九州地方では晩生の在来品種が多かった.早生品種は関東, 関西に多く分布し, 九州, 四国地方,富山以北の日本海沿岸, 東北地方には分布しなかった.晩生品種は九州, 日本海沿岸地方に多く分布した.6. 収穫期から見た品種の変遷とその原因を考察し, 育成品種, 現在の栽培品種の遺伝的整一さを論じた.
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