食用植物油にフェオフィチンが高比率で存在する理由
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概要
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油脂の光酸化促進性及び油脂の酸化時の安定性がクロロフィル (Chl) より高いフェオフィチン (Phy) が精製食用植物中になぜChlより高比率で存在するかについて検討した。なたね種子 (カノーラ種) に含まれる油脂を6種の溶媒で抽出し, 色素量とその組成を蛍光定量によって分析した。その結果, ヘキサンを用いた際にPhyが97%も占めたが, 溶媒の極性をあげるとChl抽出量が増えることがわかった。このことは, ヘキサン抽出ではChlとタンパク質の結合が切れないためにPhyが優先的に抽出されたものと推定された。<BR>なたね粉砕物を加熱あるいはなたね抽出油を酸処理した際の色素組成の変化を検討したところ, Chlの一部がPhyに変化していることが認められたが, 実際の製油工程では始めからPhyの比率が圧倒的に高いので, この変化はあまり問題にはならないと考えられる。
- 社団法人 日本油化学会の論文
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