生体試料中の微量水銀の分離定量
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概要
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生体試料を硫硝酸と加熱分解し,分解液からテルルを捕集剤として酒石酸存在下において微量水銀を塩化第一スズで還元沈殿させ,この沈殿を少量の硝酸に溶解し,水で希釈して0.1<I>N</I>硝酸酸性としたのち,ジチゾンークロロホルム溶液を用いて抽出し,510mμの吸光度を測定して水銀の定量をおこなった.試料の分解,テルルによる水銀の共沈およびジチゾン抽出における回収率について<SUP>203</SUP>Hgをトレーサーとして用いて検討し,ほぼ完全に近い収率で微量水銀を分離定量し得る条件をみいだした.本法の利点は試料分解が硫硝酸のみで十分であること,また硝酸存在下にテルル中に水銀を捕捉してただちにジチゾン抽出比色に移行し得るという点であって,従来の方法に比し,きわめて迅速性にとむということができる.なお同一試料の放射化分析による分析値と本法による値はよく一致した.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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