硫化亜鉛を沈殿させる際のコバルト(II)の共沈について
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概要
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放射性コバルト-60をトレーサーとして弱酸性緩衝溶液から硫化亜鉛を沈殿させる際のコバルト(II)の共沈を検討した.<BR>硫化亜鉛に共沈するコバルトの共沈率に影響をおよぼすもっとも大きな因子は硫化水素の流通速度である.硫化水素の流通速度をほぼ一定に保つときは,その共沈率は再現性のある値を示した.一方流通速度を変えれば共沈率は変化し,速く通した場合には20%前後(pH2.5),極めて徐々に通した場合には0.5%前後と著しく減少した.したがって実際には極めて徐々に通ずることにより1回の沈殿操作で分離十分となろう.なおpH3では10%以下の共沈が起るので分離はpH2〜2.5で行う必要がある.<BR>さらに当該緩衝溶液ではチオアセトアマイドを亜鉛の硫化物沈殿剤とすることはできなかった.<BR>第2属金属を分離してから微酸性溶液に硫化水素を通じ,亜鉛を硫化物として沈殿させる際,コバルトはインジウム,タリウムおよびカリウムなどと同様に共沈することが知られている.Jeffreysらはその共沈の機構をKolthoffらの硫化銅による硫化亜鉛の共沈のそれと同様に考え,post precipitationであるとし,Caldwellらも硫化亜鉛に対する鉄,コバルトの共沈に関して,アクロレインを使用しそれらのpost precipitationを減少させることができるとしている.またこのアクロレイン使用による共沈の滅少はFlaggの硫化スズによるコバルトの共沈の研究にも応用されている.しかしながらアクロレインを用いる方法には種々の不便がともなうので,われわれは種々の条件のもとにおける亜鉛に対するコバルトの共沈を検討した.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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