コバルト(III)-ニトリロ三酢酸錯体を用いる鉄の定量 : 金属キレート化合物を標準液とする酸化還元滴定法(第1報)
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概要
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硝酸コバルト(II)にニトリロ三酢酸(NTA)を添加したものを電解酸化して得られた赤紫色のCo<SUP>3+</SUP>-NTAを標準液として用いる鉄の定量法について検討を行なった.Co<SUP>3+</SUP>+<I>e</I>〓Co<SUP>2+</SUP>の酸化還元電位はNTAを添加することにより下がり,一方,Fe<SUP>3+</SUP>+<I>e</I>〓Fe<SUP>2+</SUP>の酸化還元電位も下がるので新しい条件下における鉄の定量法が考えられる.分析手法としては550mμを設定波長とする光度滴定法を用いた.炭酸ガスを充満して除酸素した光度滴定そう内のビーカーに0.1<I>M</I> Fe<SUP>2+</SUP> 0〜2m<I>l</I>をとり,窒素ガスで除酸素したpH2.5のリン酸緩衝液55m<I>l</I>および0.4<I>M</I> NTA 5m<I>l</I>を加えたのち,滴定そう内に炭酸ガスを流しながらCo<SUP>3+</SUP>-NTAで滴定すると二直線の交点として鉄(II)に対する終点を得る.この際0.1<I>M</I> Fe<SUP>2+</SUP> 2m<I>l</I>に対して0.1<I>M</I> アスコルビン酸が30m<I>l</I>まで存在してもその影響なく滴定でき,したがってアスコルビン酸含有の鉄の定量に利用できる.またこのことを応用してFe<SUP>3+</SUP>をいったんアスコルビン酸でFe<SUP>2+</SUP>に還元したのち,Fe<SUP>2+</SUP>の場合と同様にCo<SUP>3+</SUP>-NTAで滴定すれば鉄(III)の定量も可能である.Co<SUP>3+</SUP>-NTAは比較的安定な化合物であるが,冷蔵することによりいっそう安定性を増す.
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