カーボンチューブを用いたフレームレス原子吸光光度法によるベリリウムの定量

概要

論文の詳細を見る
カーボンチューブを用いたフレームレス原子吸光光度法によるベリリウムの微量定量分析及び共存成分の干渉について検討した.ベリリウムと同属元素であるバリウム,ストロンチウム,カルシウム及びマグネシウムの塩化物がこの順で負の干渉を示した.この干渉は灰化段階において比較的低温で長時間加熱することにより,ある程度抑制することができた.又,少量の硫酸もしくは硝酸を添加することにより,これらの負の干渉は消失した.その他にアルミニウムが低濃度で負,高濃度で正の干渉を示し,鉄の各塩も負の干渉を示した.又,安息香酸,ギ酸,酢酸などのカルボン酸及びリン酸が負の干渉を示す傾向があるが,カーボンチューブ内への試料注入量を少量にすれば,ある程度防ぐことができる.高濃度の硫酸も負の干渉を示すが灰化段階で昇温速度を小さくして長時間行えば,干渉は緩和される.ベリリウムの溶液を10μl注入する場合の1%吸光感度は0.1ppb(1×10^<-12>g),繰り返し精度(c.v.%)は2.1%であった.
社団法人日本分析化学会の論文
1976-08-10