吸着理論式の誘導と薄層クロマトグラフィーへの応用
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概要
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Eyringの絶対反応速度論に基づいて,吸着現象の解明を行ない,得られた吸着式をMartinの式に代入して,次の吸着薄層クロマトグラフィー(TLC)理論式を得た.<BR><I>R<SUB>f</SUB></I>=1/1+<I>k<SUB>s</SUB></I>/<I>k<SUB>b</SUB></I>×<I>nM<SUB>b</SUB></I>/<I>N</I>×<I>L<SUB>s</SUB></I>/<I>L<SUB>m</SUB></I><BR>式中,<I>n</I>:吸着剤中の吸着活性点の数;<I>L<SUB>s</SUB></I>, <I>L<SUB>m</SUB></I>:薄層単位面積あたりの固定相および移動相重量;<I>N</I>:アボガドロ数;<I>M<SUB>b</SUB></I>:移動相の平均分子量;<I>k<SUB>s</SUB></I>:溶質および吸着剤に関する定数;<I>k<SUB>b</SUB></I>:溶質および展開溶媒に関する定数.<BR>TLCにおいて,(1)吸着剤の活性を変えた場合,(2)展開溶媒の組成を変えた場合,(3)薄層の厚みを変えた場合,(4)溶媒蒸気を前吸着させた場合,のそれぞれについて一連の実験を行なって,上の理論式の妥当性を確かめた.実験結果は理論式とよい一致をみた.<BR>著者らは絶対反応速度論を用いて,吸着理論式を誘導し,これをTLCに応用して<I>R<SUB>f</SUB></I>値とクロマトグラフ系の特性との関係を示す次式を得た.<BR><I>R<SUB>f</SUB></I>=1/1+<I>k<SUB>s</SUB></I>/<I>k<SUB>b</SUB></I>×<I>nM<SUB>b</SUB></I>/<I>N</I>×<I>L<SUB>s</SUB></I>/<I>L<SUB>m</SUB></I>…(9)<BR>式中,<I>k<SUB>s</SUB></I>:吸着剤と溶質に関する定数;<I>k<SUB>b</SUB></I>:吸着剤と展開溶媒に関する定数;<I>n</I>:吸着剤単位質量中の吸着活性点の数;<I>L<SUB>s</SUB></I>,<I>L<SUB>m</SUB></I>:薄層単位面積あたりの固定相および移動相重量;<I>M<SUB>b</SUB></I>:移動相の(平均)分子量;<I>N</I>:アボガドロ数.<BR>TLC実験によって式(9)の妥当性を検討したところ,実験は式(9)を支持した.<BR>式(9)を変形すると,Snyderの理論式に類似の型式のものを得た.Snyder式にはいくつかのパラメーターが用いられており,これらは多くの実験値から計算されている.著者らの式は,これらのパラメーターに熱力学的解釈を与えるのに役だつものと考えられる.
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