臨床を中心とした糸球体賢炎の発症機序 : 免疫から化学
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概要
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腎炎の発現機序に関しては, VolhardとFahrによる病理解剖学と馬杉その他による免疫学との両者の密接な協同作業によつて既に確立されたものとして,永く信じられてきた,ところが,純臨床的な立場から観るとき,腎生検法による地味な知見(病理解剖と臨床との対比)の積み重ねを経て,まず病理解剖学的知見の修正がなされるようになり,さらに免疫学によつてすべての症例が説明できるという考え方も,これだけでは到底説明できない症例の存在が次第に明らかになつていった.それに伴つて,これに代るものとして化学的或は免疫化学的な角度からの見直しが次第になされるようになつてきている.このような考え方の転換に拍車をかけたものとしては, Fabry病などの遺伝的な疾患が純化学的に解明されるようになつたという事実と共に,私共の開発したglycopeptide腎炎(すなわち腎から抽出・精製した糖ペプチドという化学的に構造の明らかにされた物質の注射により腎炎という疾患がひきおこされるモデル)が,成人腎炎の全経過(慢性腎炎・萎縮腎に至る)を代表するものであることが次第に明らかにされてきたという事実をあげることができよう.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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