輸血後早期(4年3ヵ月)の肝細胞癌の発生を確認できたC型肝炎の1例
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概要
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輸血を受けたC型肝炎患者が慢性肝炎から肝硬変を経て,肝癌の発生をみるまでに,通常15〜30年の経過が必要とされている.われわれは輸血後4年3ヵ月という早期に肝硬変と共に肝に腫瘤を診断し,4年11ヵ月目にその腫瘤が肝細胞癌であることを確認できた症例を経験したので報告する.症例は73歳の女性,69歳時胆石症に対し胆嚢摘出術を受けた.術前検査で肝機能は正常,術中に観察した肝表面は平滑で,組織像も正常であった.術後出血のため輸血を受け,肝炎を発症した.4年3ヵ月目肝硬変の診断,腹部超音波検査にて径1cmの腫瘍が3個発見された.4年11ヵ月目に狙撃生検にて肝細胞癌(高分化型)の診断を得ることができた.HCV抗体は陽性であった.輸血後このような短期間に肝細胞癌の発生がみられた報告はない.輸血後黄疸を伴う高度の炎症が持続し,肝硬変に早期に移行したことがその要因と考えられた.
著者
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工藤 二郎
九州大学第1内科
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石橋 大海
九州大学第1内科
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平田 泰彦
平田内科胃腸科クリニック
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田中 実
九州大学第1内科
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高橋 和弘
九州大学第1内科
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桝本 直子
九州大学第1内科
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岡 泰正
岡内科医院
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