肝性脳症における脳内セロトニン代謝異常に関する研究
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概要
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肝性脳症に於ける脳内セロトニン(5-HT)代謝異常を,肝硬変及び劇症肝炎患者脳脊髄液(CSF)中トリプトファン(Trp)及び5-ハイドロキシインドール酢酸(5-HIAA)の面から検討した.対照群に比し,CSF中Trpは肝硬変非脳症群,脳症群及び劇症肝炎群で有意に上昇し,5-HIAAは,肝硬変脳症群で有意に上昇したが,非脳症群では有意差はなかった.肝硬変脳症群は非脳症群に比し,CSF中Trpのみが有意に上昇した.CSF中Trpと5-HIAAの間には有意の正相関が認められた.同一症例の臨床経過中CSF Trp, 5-HIAAの変動は3例中2例で脳症発現と関連していた.尚,虚血性肝不全ラット脳内Trp, 5-HT及び5-HIAAについて分析し,Trp及び5-HIAA濃度は,ほぼ全脳にわたり有意に上昇していたが,5-HT濃度は中脳,視床下部,延髄・橋と線条体でのみ有意に上昇していた.以上の結果より,肝性脳症に於ては脳内5-HT代謝は亢進しているものと結論し,この結果と脳症発現機序との関係につき考察した.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
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武藤 泰敏
岐阜大学医学部第1内科
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橋本 修
岐阜大学医学部第1内科
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高橋 善彌太
岐阜大学医学部第1内科
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斉藤 公志郎
岐阜大学医学部第1内科
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小畠 正夫
岐阜大学医学部第1内科
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川出 靖彦
岐阜大学医学部第1内科
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