液液抽出/膜分離複合化システムによる高度不飽和脂肪酸の分離・濃縮

概要

論文の詳細を見る
生理活性の注目されている<I>n</I>-3系高度不飽和脂肪酸 (PUFA) に富んだグリセリドを, 膜分離技術を中心として, 品質の劣化なしに低コスト, 低消費エネルギーで大量に分離・濃縮できるシステムの検討を行った.リパーゼによる選択的加水分解によりPUFAをグリセリドとして残し, 次に液液抽出により加水分解魚油中の遊離脂肪酸 (FFA) を抽剤相に移動させた.膜分離を用いてこの抽剤相を透過液として除去することにより, PUFAに富んだグリセリドを濃縮液として分離した.透過液はイオン交換樹脂で処理後, 再度抽剤として膜分離に用いた.抽剤として75 (v/v) %エタノール水溶液がグリセリドとFFAの分離に適しており, 親水性ポリイミドUF膜との組み合わせによりFFAを効率良く分離できた.加水分解率54%では, 濃縮液中の残存FFAは2%, PUFA含有率は34から52%に濃縮され, PUFA回収率は71%であった.本法は, 低温溶剤分別法に比べ, かなり高い回収率を得ることができた.
社団法人化学工学会の論文