フィールドデータ分析における不つり合い型データの影響
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概要
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フィールドデータの不つり合い性が,種雄牛評価値や分散成分推定値の推定誤差に及ぼす影響について明らかにする目的で,モンテカルロコンピュータ模擬実験を行なった.実験は,I. つり合い型データと不つり合い型データの比較,II. 欠損率の影響,III. 欠損パターンの影響,IV. 欠損パターンにおける非無作為性の影響,以上の4実験である.分散成分の推定と種雄牛評価値は,i-MINQUE法により推定した.比較指標とした推定値は,種雄牛分散の平方根(種雄牛SD),誤差分散の平方根(誤差SD),遺伝率推定値,真の育種価と推定育種価間の相関係数,真の育種価に対する推定育種価の偏差平方平均値である.実験Iではサブクラスの充足率が100%におけるつり合い型データと不つり合い型データを比較したが,両者間に差はなかった.実験IIによると種雄牛SDと遺伝率推定値はサブクラスの欠損率に対しロバストであったが,誤差SDは欠損率が高くなると大きくなる傾向があった.また育種価の推定精度は欠損率が高くなるにしたがい低下すると示唆された.またこれらの傾向は設定遺伝率が低いほど顕著であった.実験IIIの結果によると種雄牛SDと遺伝率推定値は欠損パターンに影響を受けなかった.一方,育種価の推定精度において相関型欠損パターンが無作為欠損パターンと並び,高い精度であった.実験IVでは,上記3実験とは対照的に各欠損パターンにおける種雄牛SDと遺伝率推定値の低下は,無作為欠損パターンに比較し顕著であった.また種雄牛育種価の推定精度の低下も大きなものであったが,その中では正および負の相関型欠損パターンは比較的低下が少なかった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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