沖縄における黒毛和種屠肉形質の年次推移
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概要
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屠肉形質の遺伝的改良の傾向を調べるため, 枝肉重量DCG (1日枝肉生産量=枝肉重量/日齢), ロース芯面積, 脂肪交雑および枝肉格付規格の年次推移について分析した. データは14頭の種雄牛を親に持つ572頭の去勢牛の屠畜記録で, 1978年から1984年まで沖縄県食肉センターで調査したものである. 去勢牛の出生年次で1977年から1982年までの枝肉重量平均値の推移をみると低下する傾向にあった. 一方, DCG, ロース芯面積, 脂肪交雑評点および格付規格では明確な傾向は, みられなかった. 脂肪交雑評点および格付規格の変動係数は大きく, また格付規格の変動係数は年次が進むにつれ増加する傾向であった. これは格付規格のうち中物の枝肉の割合が減り, 並物の枝肉が増加したためと思われる. 枝肉重量とロース芯面積の育種傾向は初期に上昇し, その後頭打ちになる傾向がみられた. 一方, 脂肪交雑評点および格付規格の育種傾向は調査期間中, 終始上昇する傾向がみられた. このようにDCG, 脂肪交雑評点および格付規格の改良は, 比較的順調であったと思われる. 次に年次効果の最小2乗平均値の推移についてみると, ロース芯面積ではほぼ一定しており, 年次による環境の効果はみられなかった. 一方, 枝肉重量とDCGでは若干低下する傾向がみられた. これに対し, 脂肪交雑評点および格付規格の年次効果は終始低下する傾向であった. 従って脂肪交雑評点と格付規格の遺伝的改良は比較的順調であるにもかかわらず, 環境要因によつて相殺されて, 表型上の改良に結び付いていないものと思われる. 枝肉重量とロース芯面積の育種傾向は頭打ちの傾向であるため, 今後の改良の進展度を注意深く見守るとともに, 引き続き調査する必要性があると思われる.
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